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激映画批評

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◆期待通りのとんでもねー映画(70点)

「少林サッカー」(01年)が大ヒットしたチャウ・シンチーの映画に日本のお客さんがもっとも期待すること。それを一言でいうと「とんでもねー」ということになるだろうか。ほかでは見られないぶっ飛んだアクション、ギャグ。そうしたものあなたが「西遊記〜はじまりのはじまり〜」に期待するなら、その期待に彼は十分答えてくれる。

川辺の集落に、とんでもない巨大妖怪が現れる。さえない妖怪ハンターの玄奘(ウェン・ジャン)は、必死に対抗するもまるで歯が立たず。ところがそこに謎の美人(スー・チー)が現れ、鮮やかな手腕で敵を翻弄する。いったい彼女は何者なのだろうか。

西遊記と名がつくが、私たちの知る物語とは大きく異なる。それがなぜなのかはちょっとしたお楽しみなのであえてここでは記さない。もっとも雑誌やテレビやウェブなど、こういう配慮をしてくれる映画紹介はあまり無いので、ネタバレにはお気を付けのほどを。

さて、この映画の美点は「適材適所」の一語につきる。

今回チャウ・シンチーは、「役者がそろったから」とあえて出演はしていないわけだが、その言葉に嘘はない。

たとえば前出の「少林サッカー」をはじめとする監督作品でもすっかりお馴染みだが、よくもまあ、こんなにバカ面したバカ役を揃えてくるものだと毎度感心させられる。猪八戒編のバカップルの二人はどこからみても筋金入りのバカにしか見えないし、攻撃力の高いオバサン役はどこからみてもオバサンとしか形容しがたいルックスを誇る。

お前は何を当たり前のことを言っているのかと思うかもしれないが、見てもらえばきっと私の言う意味が分かる。

メインキャラクターも、強いお姉さんはひたすら強く、猪八戒ひたすらツヤツヤで、孫悟空まさに猿。ビジュアルとしてはベーシックからはほど遠い、まさにトンデモねー西遊記ではあるが、完璧なまでに「そこにはそいつだよね」と納得できるキャスティングといえる。だからこの映画は、トンデモなのに安心感、安定感を感じさせる。

死にそうにないキャラクターがあっさり食われるなど、唐突さ、ブラックなスパイスも利いていて、さすがに小学生に見せたいとは思わないが、それ以外幅広く楽しめるコメディとしてよくできている。

アクションシーンも派手第一、予想の斜め上をいくアイデア満載でおもしろい。どこかで聞いた音楽が流れるクライマックスでは、おじさんたちをニヤリとさせる。

相変わらずの日本びいきなチャウ・シンチー節、絶好調といえるだろう。

■作品データ
西遊記〜はじまりのはじまり〜

西遊 降魔篇 / Journey to the West: Conquering the Demons
2014年11月21日、 TOHOシネマズ 有楽座他、とんでもねーロードショー!
2013年/香港/カラー/110分/配給:日活、東京テアトル

スタッフ
製作・脚本・監督:チャウ・シンチー

キャスト
スー・チー(妖怪ハンター)
ホアン・ボウ(孫悟空)
ウェン・ジャン(三蔵法師)
ショウ・ルオ(空虚王子)














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