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激映画批評

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◆オヤジがみてこそ味わえる、その気持ちいい生き様(60点)

 フランスでも日本同様、テレビ局が積極的に映画作りにかかわるようになってから、これまた日本同様、安物ハリウッドアクションムービーとでもいうべきお気楽な娯楽映画が増えた。
しかしながら、そうした作品が観客を呼び、量産されることによって映像業界の底上げ効果があるのもまた事実。どんなものでも作り続けなければ、その国の映像作品の質は間違いなく下がる。
しかも、チープハリウッドなどと揶揄されようが、やはりフランスはフランスであり、米国産とは明らかに異なる個性がある。「友よ、さらばと言おう」(フランス、90分)を見ると、特にそう思う。
主人公は交通死亡事故を起こして6年間服役後、すさんだ生活を送る元刑事のシモン(ヴァンサン・ランドン)。彼には刑事時代の相棒で親友のフランク(ジル・ルルーシュ)がおり、今でも何かと気遣ってくれているが、家族崩壊を経たシモンの生活は荒れる一方であった。そんな折、離れて暮らす最愛の息子がマフィアの殺害現場を偶然目撃、命を狙われていると知ったシモンは、フランクの反対を無視して単身、マフィア組織に立ち向かう決意を固めるのだった。
この映画の何がいいかというと、主人公二人とも、平凡極まりないオヤジ的外見であるということだ。もっともフランス女性の好みはこうした脂ぎった中年なのかもしれないが、日本人の一般的価値観からみると、彼らは加齢臭漂うただのオッサンである。
実績ある人気スター二人にこうした評価は失礼かもしれないが、役柄上くたびれた服をまとい、ハリウッドムービーのように超人的な能力を発揮するわけでもない。彼を突き動かすのがただ一つ、幼い息子への愛だけという点が、こうした要素により浮き彫りになり感動を誘うのだからあなどれない。
フレッド・カヴァイエ監督は、『すべて彼女のために』『この愛のために撃て』といった作品で、贅肉をそぎ落としたアクション映画の気持ちよさを見せて高く評価されている逸材。その主人公たちは常に身近な人物への愛にあふれ、不器用ながらそれを守るために突き進む。しがらみだらけの現実をいきるオヤジが見てこそ、その気持ちいい生き様に共感できる作風といえる。
次回作からハリウッドデビューも決まっており、ノリにのっているこの監督のメイド・イン・フランス作品を、ぜひいまのうちに味わってほしい。

■作品データ
友よ、さらばと言おう

Mea culpa
2014年8月1日公開
2014年/フランス/カラー/90分
配給:ブロードメディア・スタジオ

スタッフ
監督:フレッド・カバイエ
製作:シリル・コルボー=ジュスタン、ジャン=バティスト・デュポン、シドニー・デュマ
製作総指揮:ダビ・ジョルダーノ
脚本:フレッド・カバイエ、ギョーム・ルマン
撮影:ダニー・エルセン
美術:フィリップ・シフル
衣装:マリ=ロール・ラッソン
編集:ベンジャマン・ワイル
音楽:クリフ・マルティネス

キャスト
バンサン・ランドン
ジル・ルルーシュ
ナディーン・ラバキー
ジル・コーエン
マックス・ベセット・ドゥ・マルグレーブ
ベリボール・トピッチ












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