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激映画批評

今月のオススメ


◆かつて「メリー・ポピンズ」を見た大人たちに(70点)

親子愛を描いた、それも父子ものとなると生真面目なイメージになりがちだが、そう堅苦しくない、気軽に笑ってみられる映画を求めているなら「オー!ファーザー」はいい選択だ。

一見普通の高校生の由紀夫(岡田将生)には、モテすぎな母親の不始末で父親(候補?!)が4人もおり、そのすべてと同居しているという秘密があった。この奇妙な同居生活はなかなかどうして上手くいっており、4人と由紀夫は強固な絆で結ばれていた。そんなある日、由紀夫が目撃したある事件を皮切りに、彼は犯罪へと巻き込まれてしまう。

まず目に付くのは設定の奇抜さ。いわゆる一妻多夫制というやつだが、ここで毛嫌いせずSFみたいなものだと思って見てみると、これが意外によく出来ている。

何しろ収入も専門知識も4倍、愛する奥さんの占有時間だけが四分の一という状況。いやむしろそれが一番のメリットじゃねぇかとおっしゃる古女房持ちの方もいるかと思うが、あえてコメントは避けさせていただこう。

ともかく、このSF的設定を父子の関係性に絞って、それも大事な息子がピンチに陥った「有事」に限定して考えると、実に頼もしい話だ。とくに息子が誘拐された、なんてときには、父親といえど一人じゃ相当心細く、パニックにもなりかねない。「オー!ファーザー」のストーリーは、まさにそうした展開をたどる。

コメディタッチだから、父親軍団が独自捜査で鮮やかに犯人に迫る様子は、痛快きわまりなく描かれる。その意外性あふれる「追跡術」は、それぞれの父親の得意技と、長年愛情を注いできた息子の思い出や記憶、それらが相乗効果を上げていく感動的なものだ。

この気持ちいい愛情物語は、決してひとつの父性では息子は育てられないという、幾多の教育専門家の意見、そして多くの父親の体験とも一致するところだろう。男の子は、最初は実の父親、そして成長に伴い教師や先輩など、多くの師匠の力を持って成長していく。

「オー!ファーザー」は、その理想形を極端な設定で描いて見せたから、これほどまでに男たちの共感を集めることができたといえる。一見とっぴな話だが、そんなわけで息子を持つ父親にとっては、なかなかリアリティのあるおとぎ話になっている。

■作品データ
オー!ファーザー
2014年5月24日(土)角川シネマ新宿 テアトル梅田 他全国ロードショー
2013年/日本/カラー/102分/配給:ワーナー・ブラザース映画ー

スタッフ
監督:藤井道人
製作総指揮:奥山和由
エグゼクティブプロデューサー:中村直史
原作:伊坂幸太郎
脚本:藤井道人
撮影:福本淳
照明:市川徳充
録音:尾崎聡
編集:洲崎千恵子
主題歌:スガシカオ

キャスト
岡田将生
忽那汐里
佐野史郎
河原雅彦
村上淳
宮川大輔
柄本明
賀来賢人
榊原徹士












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