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激映画批評

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◆無関係な日本人が見ても楽しめる戦争映画(70点)

 アメリカのような覇権国家にとって戦争とは、権益奪取のための手段のひとつといった程度のものだ。だからそういう国が作る戦争映画には、どこか余裕がある。戦争イコール国の存亡をかけた命がけの戦い、となりがちなその他の国のそれとは、根本的に異なるカラーを持つと言ってよい。
「ローン・サバイバー」(121分、アメリカ)も、いかにもそうしたアメリカ的レディメイドな戦争映画。アメリカ最強を誇る特殊部隊ネイビーシールズが、歴史上ほとんどはじめてコテンパンに叩きのめされた大敗北を描いた話だというのにさほどの悲壮感も過度な共感もなく、冷静な距離感を持って作られているのは、この程度の敗戦ではビクともしない大国の余裕ゆえ、なのだろう。
舞台は2005年6月のアフガニスタン。9.11同時多発テロ事件から続く対テロ戦争の一環で、アメリカ軍がタリバンと戦っていたころの物語だ。主人公となるのは4人の屈強な兵士、ネイビー・シールズの精鋭たち。シールズは米海軍の特殊部隊で、今回のレッド・ウイング作戦では敵幹部の監視と狙撃を任務としていたが、わずかなミスから200名以上の敵兵に囲まれてしまう。
映画はこれ以降、ほぼすべて戦闘シーンで構成される。たった4人ながらよくもここまでしぶとく生き残るものだと感心させられるが、鬼神のような彼らが鉄壁のチームワークをもってしても、アウェーで数百人を相手にするのは無理というもの。大切な仲間が銃弾に倒れ、徐々に消耗して絶望の色濃くなるチームの様子を、映画はひりつくようなリアリティで見せてゆく。
この作品は史実をもとに描かれている……どころか実際に戦闘の場にいた人間の手記がもとで、さらに本人の助言によって脚本演出がなされているのでハンパではない真実味を感じられる。
ここでひとつ思うのは、こうした成り立ちの作品がもし他国で作られたら、おそらくもっと感情的あるいは扇情的なタッチになっていたのではないだろうかということ。だが「ローン・サバイバー」がいかにもアメリカ映画なのは、真実の悲劇ドラマながら戦闘アクションとしての娯楽性をふんだんに盛り込み、かつ単純な戦争反対、あるいはアメリカ万歳ではないしっかりした主張を忍ばせている点だ。
こうした余裕ある戦争映画づくりができるからアメリカ映画は侮れない。いかにもかの国らしい、他国人が見ても楽しめる優れた一本といえるだろう。

■作品データ
LONE SURVIVOR
2014年3月21日(金・祝)TOHOシネマズ 日本橋 他、全国ロードショー
2013年/アメリカ/カラー/121分/配給:東宝東和/ポニーキャニオン

スタッフ
監督:ピーター・バーグ
原作:マーカス・ラトレル、パトリック・ロビンソン
脚本:ピーター・バーグ

キャスト
マーク・ウォールバーグ
テイラー・キッチュ
エミール・ハーシュ
ベン・フォスター
エリック・バナ












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