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◆特攻隊映画の決定版(80点)

 マスコミ向け試写会が半年以上も前に行われ、てっきり夏の大作として公開されるのかと思っていたら12月と聞いて驚いたわけだが、そんなわけで特攻隊映画の決定版の登場だ。
物語は現代から始まる。司法浪人で人生の目的を見失いかけていた健太郎(三浦春馬)は、あるとき血のつながった別の祖父の存在を知る。ゼロ戦パイロットとして戦死したその男、久蔵(岡田准一)の足跡をたどりはじめた健太郎は、ことごとく祖父を臆病者とののしる証言ばかり聞く羽目になり、さらに意気消沈する。ところが久蔵の最期を知るある男の話だけは、まったく異なったものだった。
特攻隊の時代、誰より生還にこだわり続けた祖父は臆病者だったのか。それとも……。
ミステリ仕立ての戦争映画超大作というわけで、見どころは何と言ってもVFXを駆使した戦争シーンの数々。敵航空母艦の撃沈シーンなどはハリウッド作品にも見劣りしない。
これを作り上げた山崎貴監督は「ALWAYS」シリーズで知られるヒットメーカーだがもともとVFXが専門であり、この手のスペクタクルこそ本領発揮というもの。
この派手さに反比例するように回想シーンは淡々としており、なかなか話が進まないが、主演・岡田准一の放つオーラというか、観客の目をくぎ付けにする雰囲気がよろしいため退屈はしない。何かを胸の奥に秘めつつ、死があふれていた時代を懸命に生き抜こうとした男を見事に演じている。その後ろ姿は不言実行という感じで、昭和のいい男そのもの、といったところ。
さまざまな証言により祖父の人生の見方が二転三転する様子は、そのまま戦後の日本人の歴史認識のぶれを暗に表現しているのだろう。
原作者、百田尚樹は右派の論客として知られるが、この映画版についてはとくに偏った歴史観は感じられず、むしろ左右の思想に染まる前のニュートラルな若者にも安心して見せられる。災害支援等で自衛隊について好意的な印象を持つ近年の若者には、命がけで戦った祖先への尊敬が根底に流れるこうした作品はすんなりと入るはずだ。このあたりが、戦争を絶対に肯定できない某巨匠の不完全燃焼なゼロ戦アニメと決定的に異なるところで、こちらのほうが確実にウケるだろう。

■作品データ
永遠の0
2013年12月21日公開
2013年/日本/カラー/143分/配給:東宝
原作:百田尚樹「永遠の0」(太田出版)

スタッフ
監督・VFX:山崎 貴
脚本:山崎 貴/林 民夫
音楽:佐藤直紀
主題歌:サザンオールスターズ 「蛍」
(タイシタレーベル/ビクターエンタテインメント)
制作プロダクション:ROBOT
制作協力:東宝映画

キャスト
岡田准一
三浦春馬
井上真央
濱田 岳
新井浩文
染谷将太
三浦貴大
上田竜也
吹石一恵
田中泯
山本學
風吹ジュン
平幹二朗
橋爪功
夏八木勲













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