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激映画批評

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◆日本には少ないハードボイルド作品(65点)

 日本映画が隆盛な時代といわれて久しいが、一方で外国映画の衰退が言われている。まだハリウッド映画はいい。問題はフランス等ヨーロッパや他のアジアの映画だ。とくに、中年世代にはなじみが深い香港映画。最近見た、という方がどれくらいいるだろうか。おそらく相当少数派なのではあるまいか。
「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」(102分、香港)は、そんなあなたに見てほしいアクションドラマ。2012年の香港における最大のヒット作で、「インファナル・アフェア」のような重厚ハードボイルドな世界観が、大人の男にはたまらない一本だ。
舞台は現代香港。最大の繁華街モンコックで爆破事件が起こり、同時に5人の特殊部隊員が車両ごと誘拐される事件が起こる。被害者に親族が含まれていたことから外されたリー副長官(レオン・カーファイ)に代わり指揮を執るラウ(アーロン・クォック)だが、事件の行方は予想外の方向転換を見せ、ラウにも嫌疑がかけられてしまう。
B級感あふれるカンフー映画もいいが、こうした本格風味の刑事ドラマも香港映画の魅力。同じアジア人でも、どこか危険さの漂う男臭い役者たちが出演するのも魅力で、本作の二人もその期待に応えてくれる。
大ヒットしたというだけあって、大衆向けエンターテイメントとして見やすくなっていて、中でも冒頭のカーチェイスや、身代金受け渡しの息詰まる騙しあいは見ごたえがある。とくにカーチェイスにおける、逃げるBMWの運命はかなりショッキング。アクション映画で名をはせた香港映画界らしい、「どうよ、一味違うだろ」といわんばかりのモノを見せてくれる。
単純な拉致事件かと思いきや、複雑怪奇な背景による陰謀事件にまで発展するのだがこの真相。よくよく考えると荒唐無稽にもほどがある。……が、中国返還後のあの地ならば、もしかするとこれほど腐った組織なんてのもありうるかも、などと思えなくもない。現実の中国がむちゃくちゃをするほど、映画におけるトンデモ度もエスカレート可能になるとは、まさに天然の社会風刺。
ともあれ、たまには香港映画も悪くないな、そんな風に思える好感度の高い娯楽映画だ。

■作品データ
コールド・ウォー 香港警察 二つの正義
Cold War / 寒戦
2013年10月26日(土)より、シネマート新宿ほか、全国順次公開
2012年/香港/カラー/102分/配給:ツイン

スタッフ
監督:リョン・ロクマン、サニー・ルク

キャスト
アーロン・クォック(郭富城)
レオン・カーフェイ(梁家輝)
エディ・ポン(彭于晏)
アーリフ・リー(李治廷)
アンディ・ラウ(劉徳華)













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