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激映画批評

今月のオススメ


◆こんなに食べ物が捨てられているなんて(75点)

 映画界がもっとも力を入れる夏興行も、子供たちの夏休みが終わって一段落。家族サービスも一段落ということで、9月には一人で映画館でもいってリフレッシュ。そんな過ごし方はどうだろう。
そんなときバタ臭い超大作や、食べ残しの話題作をつまみにいくのはよろしくない。ここは大人らしく、しかし肩ひじ張らない知的なドキュメンタリーあたりをチョイスするのが粋というものだ。
「もったいない!」(ドイツ、92分)はそんな用途に適した1本で、はやりの食品問題を扱っている。ただ凡百のそれと異なるのは、食品廃棄問題に特化した作品である点だ。
作品の構成は、ドイツのNHKこと公共放送局でディレクターを務めた監督らしくオーソドックス。適切な距離感のカメラとわかりやすい編集、適切な人選のインタビューといった感じで、目を引く斬新な演出があるわけではないが落ち着いて観賞できる。
取材範囲はドイツと欧州はもちろん、カメルーンや日本にまでおよぶ。世界中でどれほどの食品廃棄物がでているのか、なぜそんなに食べ物を捨てているのか、それらは世界の食糧事情にどんな影響を及ぼしているのか。そうした問題をわかりやすく映像で伝える。解決への道のりを探るべく、いくつものアイデアと実践を紹介する。
実際にスーパーなどのごみ箱をあさり、いかに"もったいない"捨て方がされているかを示すあたりは、国や民族を超えて実感できる生々しさがある。そうした「新品ゴミ」を中心に回収して暮らしている若者たちの紹介まであって、大いに考えさせられる。彼らの語る哲学は、こちらの予想を超えて、ある種の本質をついている。
よもやホームレスイズムに影響されるとは夢にも思わなかったが、この映画がすごいのはデータと立派な専門家の話を分析していくうちに、そこに回帰するダイナミックな論理展開。結局のところ「もったいない」とのシンプルな感情と行動が、世界を救うかもしれないと思わせるところに希望と面白さがある。
一人で行って話のネタを仕込むのがおすすめだが、知的なデートや字幕を読める子供との鑑賞に用いる手もあるだろう。時間も短いし、手軽に楽しめる作品だ。

■作品データ
もったいない!
Taste the Waste
2013年9月21日(土)から、東京都写真美術館ホール、名演小劇場(名古屋)ほか全国順次ロードショー
2010年/ドイツ/カラー/92分/配給:T&Kテレフィルム

スタッフ
監督:ファレンティン・トゥルン
撮影:ロラント・ブライトシュー
編集:ビルギット・ケスター












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