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激映画批評

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◆お父さんのほうが夢中になる(75点)

 我々が小さい頃、テレビで怪獣だのヒーローだのを見ていると叱られたものだが、あれは要するに、親世代にはそうしたフィクションドラマの面白さが理解できないのだと、そう考えていた。ところがどうだろう。気づけばそんな私たちの世代もオッサンになり、子供を持つようになった。すると親子一緒に怪獣映画だのテレビゲームだのといった、かつて「親の目を盗んでやるもの」を楽しむようになった。時代は変わるものだ。
「パシフィック・リム」(130分、米)は、まさにそうした背景がなければ作られることはなかったであろう、きわめて特異なアクション超大作。ハリウッドが日本の怪獣&ロボットものを、本気で実写映画に作り上げた、異色中の異色作だ。
ストーリーは、あるとき太平洋から巨大怪獣が現れ、沿岸都市を次々破壊したとの唐突なモノローグから始まる。人類は当初軍隊を持って対抗したが有効でなく、やがて巨大二足歩行ロボ「イェーガー」を開発して、次々現れる怪獣に対処する。映画はそこからさらに時が過ぎ、怪獣が大型化、もはやイェーガーでも対処しきれぬ状況となりつつあるとの設定になっている。この時点で全世界に残存するイェーガーは4体。一方怪獣の登場頻度は加速度的に上がり、その強さも増している。人類はもう崖っぷちだ。
主人公はかつて戦闘中、操縦パートナーを失った男(チャーリー・ハナム)で、最終決戦のため修理が完了したかつての愛機に搭乗するため戻ってくる。イェーガーは2名一組で動かす仕組みなのだが、彼の新パートナーとして菊地凛子、その少女時代に芦田愛菜が日本からキャスティングされているのも話題だ。とくに芦田はかつての名子役ダコタ・ファニングをほうふつとさせる名演技を見せており、世界中の観客を驚かせるであろうと思わせる。
怪獣と巨大ロボが戦うとはいえそこはアメリカ映画。日本の特撮もののごときチープな見た目とは180度違う。終末の恐怖を予感させるリアル志向で、マシンの実在感も相当なものだ。それでいてマジンガーZからガンダム、エヴァンゲリオンまで、日本人なら誰にでもなじみのある要素を堂々と入れ込んであるから親しみがわく。
この世界に巨大怪獣が現れたらどうなるのか。それと各国が作り上げた巨大ロボが戦ったらどうなるのか。そんな胸躍るコンセプトをハリウッドの最新映像技術で表現した夢のような一品。この夏、父子で見るには最適。むしろ、お父さんのほうが夢中になること請け合いな佳作といえる。

■作品データ
パシフィック・リム
Pacific Rim
2013年8月9日(金) 丸の内ピカデリー他 3D/2D 同時公開
2013年/アメリカ/カラー/130分/配給:ワーナー・ブラザース映画

スタッフ
監督:ギレルモ・デル・トロ
製作:トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、ギレルモ・デル・トロ、メアリー・ペアレント
製作総指揮:カラム・グリーン
原案:トラヴィス・ビーチャム
脚本:トラヴィス・ビーチャム、ギレルモ・デル・トロ
音楽:ラミン・ジャヴァディ

キャスト
チャーリー・ハナム
イドリス・エルバ
チャーリー・デイ
マックス・マーティーニ
菊地凛子
ロバート・カジンスキー
ロン・パールマン
ディエゴ・クラテンホフ
クリフトン・コリンズ・Jr
ジェイク・グッドマン
芦田愛菜











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