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激映画批評

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◆巨匠の映画作りを美しい女たちが彩る(45点)

 最近は洋画が不調といわれるが、原因としてハリウッド映画が海外市場向けに単調なストーリーのものばかり量産しているから、などと言われている。好調といわれる日本映画はもっと単純単細胞な話ばっかりじゃないかという気もするが、たしかに近年はかつてのヒッチコック映画のようにどんでん返しの連続で驚かせるサスペンスは少ない気もする。
さて、そんなヒッチコック作品の中でも最も有名な「サイコ」(60年、米)製作の舞台裏を描いた伝記映画が「ヒッチコック」(99分、米)。同じくイギリス出身の名優にして、「サイコ」が道筋をつけた猟奇的犯罪ものジャンルの白眉「羊たちの沈黙」シリーズで知られるアンソニー・ホプキンスがタイトル・ロールを演じる話題作だ。
映画は、原作小説を気に入ったものの、映画会社から陰惨な内容を嫌われ製作に苦心する監督の様子を中心に描いてゆく。特徴的なのは、ネタバレ防止のため市場から原作本を買い占める有名なトリビアなども見せつつ、それ以上にヒッチコックと女性たちの関係性に視点を当てたところ。
「ヒッチコックブロンド」などという言葉もあるように美女好きで知られた彼だが、本作には「サイコ」のヒロインに抜擢されたジャネット・リー(スカーレット・ヨハンソン)、共演者のヴェラ・マイルズ(ジェシカ・ビール)、そして妻のアルマ(ヘレン・ミレン)の3人が登場する。華やかで若いジャネット、何やら特別な思いを持ち続けているヴェラ、そして最大の理解者アルマと、それぞれから創作のエネルギーを得ている様子がうかがえる。ヒッチコックによるこの3つの思いを、サスペンス映画ばりに交錯させようとの試みだ。
もっとも、黄金期の作品群で匠の技に心酔したファンからすると、少々オンナノコたちの作品への寄与度が高すぎるんじゃないの、という不満も感じる。その意味では、信者のごとき熱烈なファン向けというよりは、気楽に往年のハリウッドにおける映画作りのムードを楽しむライトなつくり。
アンソニー・ホプキンスは、真似っこ的ではない独自のアプローチでヒッチコックを演じており安定感があるが、彼に決まるまでには様々な俳優たちが考慮され、中にはジョニー・デップの名もあったとか。えらく毛色が変わりそうだが、それはそれで見てみたかった気もする。

■作品データ
ヒッチコック
Hitchcock
2013年4月5日(金)より TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー!
2012年/アメリカ/英語/カラー/シネマスコープ/99分 配給:20世紀フォックス映画

スタッフ
監督:サーシャ・ガヴァシ(『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』)
脚本:ジョン・マクラフリン(『ブラック・スワン』)
原作:スティーブン・レベロ著「アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ」白夜書房刊

キャスト
アンソニー・ホプキンス
ヘレン・ミレン
スカーレット・ヨハンソン
ジェシカ・ビール
ダニー・ヒューストン
ジェームズ・ダーシー
トニ・コレット






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