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◆新年一本目に時間移動ものの傑作が登場(80点)

 冬休みは映画業界にとって夏に次ぐ稼ぎ時だが、年が明けると弾切れ状態というか、目立った話題作の公開が途絶えてしまう。ただ、だからこそなのか、知名度は低いが質の高い掘り出し物に出会えるのもこの時期だったりする。「LOOPER/ルーパー」(118分、アメリカ)は、2013年最初のそうした一本として、ここで強くお勧めしたい。
 この作品の魅力を語るには、世界観の設定を伝えるのが一番。舞台は2044年。主人公はルーパーと呼ばれる殺し屋組織の一人。ユニークなのは、彼らのターゲットは、常に2074年から時間転送装置で送られてきた人間であること。つまり30年の時を経て、未来の闇社会と現代のマフィア組織が殺人の協同作業を行っているわけだ。
 それもこれも、「30年前の過去にのみ行けるタイムマシン」という、どう考えても未完成な発明品を未来のマフィアたちが入手したことが原因。究極の管理社会である2074年で邪魔者を消すのは危険。ならば死体処理の汚れ仕事は30年前の悪者にやってもらおう、そんなノーリスク殺人というわけだ。
 さて、そんなわけで流れ作業のように今日もお手軽ゴルゴ13を気取っていた主人公(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)だが、あるときとんでもない人間が目の前に送り込まれる。そう、それはなんと30年後の自分(ブルース・ウィリス)。未来人の粋な計らい……などといってる場合じゃないブラックジョークのような展開だが、果たして彼はどんな行動をとるのか?!
 未来から来た自分を殺さなければ所属組織の手によって現代の自分自身がやられる。殺して余命30年に甘んじるべきか、それとも……。時間移動ものらしく、魅力的なタイムパラドックスもからみ、複雑かつ緻密な脚本を大いに堪能できる。後半には二転三転のサスペンスも用意され、結末は哲学的なテーマをもはらみ大いに考えさせられる。
 決して大予算の映画ではないが、生活感をしっかり見せる地に足の着いた未来世界は下手なSF大作より現実感がある。浮かんで走るバイクなんかも出てくるが、テレビゲーム的では全くなく、油臭い「マシン」を感じさせる点がいい。
 2013年の初映画はこれで決まり。家族みんなでみる映画ではないが、知的な会話ができる大人のカップルには案外向いているのではないかと思っている。

■作品データ
LOOPER/ルーパー
2013年1月12日(土)丸の内ルーブル他全国ロードショー
2012年アメリカ/118分/配給:ギャガ=ポニーキャニオン

スタッフ
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
音楽:ネイサン・ジョンソン
撮影:スティーヴ・イェドリン

キャスト
ブルース・ウィリス
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
エミリー・ブラント
パイパー・ペラーボ
ジェフ・ダニエルズ
ポール・ダノ





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