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激映画批評

今月のオススメ


◆女性を誘うにぴったりな時代劇(70点)

 柴咲コウが徳川吉宗を演じた男女逆転「大奥」(10年、日)は、(たぶん)松平健もビックリなトンデモ時代劇であった。とはいえ暴れん坊将軍を気の強そうな柴咲が演じるというのは、それはそれで悪くない気もする。犬将軍こと綱吉を、女子力強そうなオンナノコがかわいいチンでも抱っこして演じるよりははるかにマシではないか、ははは。
……と思っていたら、そのまんまなビジュアルの将軍綱吉がパート2に登場して、私は椅子からずり落ちそうになった。
謎の疫病で男子の数が激減した江戸時代。三代・家光公以来、将軍家も代々女子が継ぐものとなっていた。聡明な綱吉(菅野美穂)は、野心を隠さず大奥でのしあろうとする総責任者の右衛門佐(堺雅人)を気に入るが、いい男をかき集めてくる右衛門佐の努力もむなしく肝心の世継ぎ候補はいまだ一人のみ。やがて綱吉は子作りに集中させられ、大奥の若者たちと毎晩身体を交わすのだが……。
いいオトコに囲まれた女将軍の酒池肉林に、ひそかに憧れるムッツリ女子たちが見に来る、これは女性向け時代劇。だから菅野美穂の夜の営みも、露出自体はきわめて控えめ。コンセプトには合致しているかもしれないが、(男読者にとって)日本一良心的な批評家としては残念ながら(濡れ場に関しては)低評価とせざるを得ない。
とはいえこういう映画は男にとって、女の子を誘いやすい便利な一品。綱吉が犬食の習慣をやめさせたがために日本はその後、欧米列強の一員にすんなり入り込めた、などといった歴史トリビアを披露すれば、うっとりした彼女をあなたの大奥にスカウトする事もできるだろう。
まあそんな我々の妄想よりも、この作品の妄想力こそ相当なものだ。男女逆転以外は厳密に考証したというが、確かに前作同様、世界観にそれほど違和感を感じないバランス感覚はお見事。
しかも今回は、ボケボケだった前回と違ってテーマがしっかり伝わってくる。それは一言でいえばリーダーの圧倒的な孤独、重圧といったものだが、本作を見る中心層が若い(注・30代含む)女性たちという点を考えたら、かなりの衝撃と意外性をもたらしてくれるはずだ。

■作品データ
大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]
2012年12月22日(土)全国ロードショー
2012年/国/カラー/124分/配給:松竹,アスミック・エース

スタッフ
監督:金子文紀
原作:よしながふみ「大奥」(白泉社「MELODY」連載)
脚本:神山由美子
音楽:村松崇継
エグゼクティブ・プロデューサー:豊島雅郎, 濱名一哉
プロデューサー:荒木美也子, 磯山晶
企画・製作:アスミック・エースエンタテインメント TBS
製作:男女逆転『大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会
配給:松竹,アスミック・エース

キャスト
堺 雅人
菅野美穂
尾野真千子
柄本 佑
要 潤
桐山 漣
竜星 涼
満島真之介
郭 智博
永江祐貴
三浦貴大
市毛良枝
榎木孝明
由紀さおり
堺 正章
宮藤官九郎
西田敏行




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