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激映画批評

今月のオススメ


◆映像の良さが光る(75点)

 CIAやらKGBやら、映画に出てくると妙に怪しげな団体になってしまうのだが、いうまでもなくこれらは諜報機関、れっきとした実組織だ。で、組織となれば結局のところ、社会に幾多あるそれと大差はない。
デンゼル・ワシントン主演のアクションスリラー「デンジャラス・ラン」(115分、アメリカ)は、CIAの若手局員があるときとんでもない重責を負わされる巻き込まれ型サスペンスだが、CIAを舞台にしながら、描いている主人公の成長過程は我々がよく知る会社組織とそっくりで興味深い。
南アフリカの領事館に、元CIAの大物テロリスト、トビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)が出頭してくる。慌てふためく当局は、こんな時のために用意した隠れ家に彼を護送する。誰も来ない隠れ家の管理人という閑職に回されくさっていた若手局員マット・ウェストン(ライアン・レイノルズ)は、突如舞い込んだ大仕事に色めきだつが、その直後、誰にも存在を知られていないはずの隠れ家は武装集団に襲撃される。
さて、ほとんど新人な主人公は、銃撃戦のさなかも最深部の部屋で大犯罪者と二人きり。屈強なベテランCIA局員たちが応戦するが、テロ軍団の前にあっという間に全滅寸前。さあいったいどうしたらいいのか?!
こんなとき、動揺の色すら見せぬ隣の大犯罪者が的確すぎる具体的対抗策を提案したらどう思うだろう? 相手は明らかに自分より優れた能力と経験を持つ元スーパーエージェント。自分の任務は彼を無事本部に移送すること。だがそれを遂行するには彼に頼るほかないのか……。のっけから魅力的なジレンマと優れたアクションシーン、リアリティある画面作りで目が離せない。
いきなりハードなOJTを開始する主人公にとっては、これは出世のチャンスともいえるが、ベテラン局員だったトビンと行動を共にするうち彼はCIAという自らの所属組織のダークサイドを知ることになる。組織内で上にいくほどにその裏を垣間見、当初の純粋な気持ちは薄れてゆく。これは社会人の一生を2時間に凝縮したたとえ話である。
若き主人公が社会の汚れを知る過程をほほえましく見守るもよし、老練な助言者の真意を推理するもよし。いずれにせよ、映像が抜群に良いから大人の鑑賞に堪える。そんな佳作であった。

■作品データ
デンジャラス・ラン
Safe House
2012年9月7日(金)TOHOシネマズ 有楽座ほか全国公開
2012年/アメリカ/カラー/115分/配給:東宝東和

スタッフ
監督:ダニエル・エスピノーサ
製作:スコット・ステューバー
製作総指揮:スコット・アバーサノ、デンゼル・ワシントン、アダム・メリムズ、アレクサ・ファイゲン、トレバー・メイシー、マーク・C・エバンス
脚本:デビッド・グッゲンハイム
撮影:オリバー・ウッド
美術:ブリジット・ブロシュ
編集:リチャード・ピアソン
衣装:スーザン・マシスン
音楽:ラミン・ジャバディ

キャスト
デンゼル・ワシントン
ライアン・レイノルズ
ベラ・ファーミガ
ブレンダン・グリーソン
サム・シェパード
ルーベン・ブラデス
ノラ・アルネゼデール
ロバート・パトリック
ファレス・ファレス
リーアム・カニンガム
ジョエル・キナマン



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