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◆意外にも男性の琴線に触れるロマンチック映画(70点)

 一人の相手を23年間もの長きにわたり愛し続ける。それも単なる恋人としてではなく、恋人関係を超えた親友として。二人で決めた記念日に毎年再会し、近況を報告しあう。悩んだ時は、その時々のパートナー以上に頼れる相談相手としてつき合い続ける──。
そんなロマンチックなストーリーがあったとしたら、女性向きだと思うだろうか。それがちまたに溢れる韓流ドラマであれば、確かにそうだろう。
しかし「ワン・デイ 23年のラブストーリー」(107分、アメリカ)を私は男性、それも人生経験豊かな中年以上にもすすめたいと思っている。
本作はある男女の23年間にわたるつき合いを描いたラブストーリー。彼らは大学生時代に出会い、宿命的な何かを感じながらも、どういうわけか肉体関係を結ばず親友関係にとどまる道を選ぶ。好きすぎる相手とは、潜在的に別れリスクが付きまとう恋人関係にはなれない、なりたくないという、これはある意味究極の愛の形。そしてそんなロマンチシズムは、案外男性的な発想だったりする。この映画でも女性側は、最初から相手を異性として見ていた節がある。そこがユニークなところだ。
さて、そこから映画は2人の波乱万丈な人生ドラマとなる。7月15日という節目の日にちに再会したり電話をしたりして励まし合う、そんな彼らの奇妙な関係を粛々と描いてゆく。もともとこの2人は、もてる男とちょっと地味なイケてない女の格差カップル。だから羽振りのいいテレビ業界で活躍する華やかな男の人生に比較して、女のそれは対照的に日陰の道。むろん、それでスンナリ終わるはずはなく、この手のドラマには珍しいどんでん返しもあったりするのだが、いずれにせよどこかウマの合う2人は、この友情を大切に育てていくわけだ。
もっとも、好きあった男女であるから、何度も一線を越えそうになって観客をハラハラさせる。そんなロマンチックでスリリングなお話を、この映画はラブコメとしてではなくシリアスなドラマとして描いた。その人間描写の的確さは、お気楽に鑑賞する女性客よりも、男性の琴線にこそ触れるだろうと確信する。すべての男性は、隠れロマンチストなのだから。
そういえばこの映画と同じく、エルビス・コステロが主題歌を歌った「ノッティングヒルの恋人」も、表向きのコンセプトに反して男性の支持者が多い映画だ。本作も意外と、女性に連れられてやってきた男性の満足度の方が高い作品になるかもしれない。

■作品データ
ワン・デイ 23年のラブストーリー
One Day
2012年6月23日(土)より、 TOHOシネマズ有楽座他全国ロードショー!
2011年アメリカ/カラー/107分/スコープサイズ/ドルビーデジタル 配給:アスミック・エース

スタッフ
監督:ロネ・シェルフィグ
原作・脚本:デイヴィッド・ニコルズ(ハヤカワ文庫刊)
撮影:ブノワ・ドゥローム
音楽:レイチェル・ポートマン
主題歌:エルヴィス・コステロ「Sparkling Day」

キャスト
アン・ハサウェイ
ジム・スタージェス
パトリシア・クラークソン
ジョディ・ウィテカー
ジェイミー・サイブス
サラ・ジェーン・オニール
ロモーラ・ガライ
トム・マイソン
ジョージア・キング
レイフ・スポール
アマンダ・フェアバンク=ハインズ
ケン・スコット





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