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◆せつない女心に共感できる傑作ドラマ(80点)

 いくつになってもイマイチわからないものの一つに女心がある。とくに自分が大人になって一番難儀するのは、ティーンエイジャーのそれ。年頃の娘の考えていることがわからない、というお父さんも多いだろう。
しかし、所詮娘なんてのは自分勝手に生きていくのだからそれでもいい。もっとも恐ろしいのは、30代のくせに精神年齢が10代並の「オンナノコ」だ。想定不能な行動原理と、かわいいから許すをとっくに通り過ぎた外見をもつこの生き物は、我々男性陣に対し実害があるためきわめて危険だ。
「ヤング≒アダルト」(94分、アメリカ)には、そんなモンスターのごときヒロインが登場する。田舎の高校時代、女王様だった主人公(シャーリーズ・セロン)は、当時つきあっていた学園一のイケメン(パトリック・ウィルソン)からの「結婚して子供ができました!」メールを見てプッツンと何かが切れてしまう。彼女は現在、都会に出てヤングアダルト小説のライターをしているが、彼氏も子供もなしの負け組37歳。都会へ巣立った女王様たるアタシを差し置いて、田舎住民どもが幸せになるなんてありえない! とばかりに、妻子から元彼を略奪すべく故郷へ突撃するわけだ。
率直に言って、このヒロインは完全に精神がイってしまっている。さっさと収監して隔離しないとまずいレベルだと、冷静に見れば誰もが思う。
しかし映画はこのヒロインにハリウッド一の美人女優シャーリーズ・セロンを配することで、ギリギリ共感できるラインに成立させている。このキャスティングとキャラクター作りが抜群にうまい。さすがは名作「JUNO/ジュノ」(2007)のジェイソン・ライトマン監督&ディアブロ・コディ脚本のコンビネーションだ。この二人に主演女優をくわえた3者のチームワークで、本作も「JUNO/ジュノ」に負けない傑作に仕上がっている。
どうにもこうにも手が付けられない暴走30代女子の、しかしあまりに切ないホンネを描き出した人間ドラマ。コメディーではあるが、男から見たらちょっと怖い。そんな絶妙なさじ加減で、わかりやすく、共感できる形で女心を描いている。
これを見ると、君子危うきに近寄らず、と敬遠していた職場のお局いやあのオンナノコにも、なんだか興味がわいてくる。手を出して取り返しのつかぬ事になる可能性も大だが、それでも相互理解は大事なこと……かもしれない。

■作品データ
ヤング≒アダルト
Young Adult
2012年2月25日(土) TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2011年/アメリカ/カラー/94分/配給:パラマウント ピクチャーズ

スタッフ
監督:ジェイソン・ライトマン(『マイレージ、マイライフ』『JUNO/ジュノ』)
脚本:ディアブロ・コディ(『JUNO/ジュノ』)

キャスト
シャーリーズ・セロン(『モンスター』『あの日、欲望の大地で』)
パトリック・ウィルソン(『恋とニュースのつくり方』『ウォッチメン』)
パットン・オズワルト(『レミーのおいしいレストラン』)
エリザベス・リーサー(『トワイライト』シリーズ)
J.K.シモンズ(『マイレージ、マイライフ』)

 



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