トップページ激映画批評

激映画批評

今月のオススメ


◆大きなミスも得点もない、まとまりのいい秀才的な映画(85点)

 お正月早々に見る映画を人に紹介するときはいつも悩む。そこで思いついたのだが、たとえば忘年会やら家族サービスで酒づかれしているお父さんたちには、胃を休める七草粥なんて習慣がある。映画もそれにならってみてはどうだろう。そうした視点で公開作品を眺めると、「フライトナイト/恐怖の夜」(106分、米)の圧倒的な平凡さが目を引く。

 地味メンながらなぜか学園のアイドル、エイミー(イモージェン・プーツ)をカノジョにできたチャーリー(アントン・イェルチン)。あまりに彼女を好きすぎて手が出せぬ日々を過ごしていたが、そんなときマッチョな隣人ジェリー(コリン・ファレル)が越してくる。彼のエイミーを見る目は普通じゃなかったが、その異常性はチャーリーの想像をはるかに超えるものだった。

 ぶっちゃけて言うとこの男ジェリーは吸血鬼だった。映画は平均以下の男子高校生が、身分不相応な美少女GFをこいつから守るために奮闘するホラーアクション。85年に公開されたホラー作品のリメイクだが、舞台を現代のラスベガスに変更し、そこで吸血鬼ショーをやってる風変わりなイリュージョニストに主人公が力を借りに行く展開が見どころとなっている。もちろん、今どきの映画だからデジタル3D上映だ。

 身分差カップルが、大事件をサバイバルする過程で仲良くなる展開は男たちにとっては妄想いや夢あふれる物語。吸血鬼の弱点を知る吸血鬼のプロ(?)が味方に付くユニークな展開も、考えてみればバカバカしいが映画の中で見ると胸躍る。こうした親近感あふれる世界観は、いかにも80年代のアメリカ映画という感じだが、その面白さがわかるのは30代以上の観客だけだろう。

 この作品が七草粥的だと私が思うのは、あらゆる点において「平均よりちょっと上」程度にまとまっているから。アクションもVFXもショックシーンも、悪くはないが特筆するほどでもない。恐怖要素、学園ドラマ要素、女優のかわいらしさ、吸血鬼のキャラ立ちといったものが、それぞれ中程度の出来ながら破たんなくまとまっている。その落ち着いた仕上がりを推したいわけだ。

 退屈はしないし、興ざめする脚本上のミスもないし、ごくごく普通に楽しめる気軽なホラー映画。ハイシーズンの目玉にはなりえないが、大作疲れの身にとってのおかゆ的なポジションとしては最適。2012年の映画ライフはこんな作品から始めてみてはどうだろう?

 

■作品データ
フライトナイト/恐怖の夜
2012年1月7日(土)全国順次ロードショー
2011年/アメリカ/カラー/1時間46分/配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

スタッフ
監督:クレイグ・ギレスピー
原案:トム・ホランド
脚本:マーティ・ノクソン

キャスト
コリン・ファレル
アントン・イェルチン
クリストファー・ミンツ=プラッセ
デヴィッド・テナント
ウィル・デントン 
デーヴ・フランコ
イモージェン・プーツ
サンドラ・ヴェルガラ
グレース・フィップス
ティナ・ボレック
エミリー・モンタギュー



ページの先頭へ戻る