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レイン・オブ・アサシン

◆ミシェル・ヨー、やりたい放題の痛快武侠アクション(55点)

  男なら誰しも、何かの拍子に「昔別れたモトカノは今なにをしてるんだろう」などと考える事があろう。かつて愛情を注いだ夢の跡が、荒れ地のように荒んでいるのは見たくない。今も華やかなままでいてほしいと妄想するのは、女性が聞いたら激怒しそうな身勝手な習性といえる。

 「レイン・オブ・アサシン」(120分、中国ほか)の主演、ミシェル・ヨーの活躍ぶりを見ると、なんだかそんな事を考える。サモ・ハン・キンポーの秘蔵っ子として80年代前半に世に出た彼女は、超絶アクションと元ミス・マレーシアの美貌、バレリーナの柔軟性を兼ね備えたアジア屈指の動ける美人女優として、香港映画ファンの心をわしづかみにしてきた。

 結婚引退や離婚復帰など紆余曲折を経て最近では米映画でも見かけるが、準主役級だったり非アクションだったり。だがこの最新作は、純粋にアクション女優としての彼女をフィーチャーするための企画。香港時代のファンが見たら、その成熟ぶりにホッとするか、乾燥気味なお肌にがっかりするのか。いずれにせよ気になる一本だ。

 彼女が演じるのは、暗殺集団「黒石」きっての高速剣術の達人。手にすれば中国武術界の覇権を握れるとされる、達磨法師のミイラを組織から奪い、今では都の片隅に潜伏している。整形し、やがて貧しいが誠実な夫(チョン・ウソン)を見つけ、女としての小さな幸せをはぐくんでいた彼女だが、そこにミイラを追う組織の魔の手が迫る。

 裏切り者の名を受けて、すべてを捨てて戦うデビルマンのごとき圧倒的なヒロインの強さと、流麗なバトルシーンが最大の見どころ。怖い顔をした大人たちがダルマさんの死体をよこせと争奪戦を繰り広げるストーリーには苦笑いだが、武侠映画としての見応えは十分。

 「レッドクリフ」で成功を収めたばかりのジョン・ウーが共同監督として参加、得意のアクションシーンを中心に腕を振るっている。超大作のあとの気軽な腕慣らしというわけでもなかろうが、香港アクションの現場を知り尽くしたミシェル・ヨーなら彼の要求は何でもこなせるから、さぞやりやすかったろう。

 それにしても、大人気韓流スターのチョン・ウソン(夫役 37歳)に激しく求愛されたり、120分間出ずっぱりでワイヤーアクションで飛んだり跳ねたり。アラフィフ(49歳)にしてこんな役柄を演じられるのは、世界広しといえどミシェル・ヨーくらいだろう。アジア美人の劣化速度はうれしくなるほどに遅い。

 

■作品データ
レイン・オブ・アサシン
剣雨 / REIGN OF ASSASSINS
2011年8月27日、新宿武蔵野館にてロードショー
2010年/中国・香港・台湾/120分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/提供:カルチュア・パブリッシャーズ 配給:ブロードメディア・スタジオ/カルチュア・パブリッシャーズ

スタッフ
監督:スー・ジャオピン
製作:ジョン・ウー、テレンス・チャン
アクション監督:スティーブン・トン
撮影:ホーレス・ウォン
衣装:ワダ・エミ

キャスト
ミシェル・ヨー
チョン・ウソン
ワン・シュエチー
ショーン・ユー
バービー・スー
ケリー・リン
レオン・ダイ



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