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ロシアン・ルーレット

◆ギャンブル好き必見、リアルロシアンルーレット(70点)

 私たち出版業界の人間には忙しい人が多い。たまに皆で飲み会をやろうといっても定時に揃う事などまれ。10人で予約した店に出向いたら、幹事すら来ず30分も一人で飲んでいたなんてのもざらだ。ひどいときには合コンで5人の女の子相手に、先に来たやつがずっと一人で立ち回ってたなんてケースもある。これでいい出会いが訪れるわけがない。

 それはともかく、時間に遅れる人というのは例外なくギャンブル好きの素質がある。だいたい15分早く出りゃいいものを、実際はわざわざギリギリまで粘って焦りを楽しんでいたりするのだ。それで間に合っていい気分になったりしているが、そんな1円にもならないリターンのため、けっこうなハイリスクをしょい込むのだから、これはもう天性の賭け師というほかない。

 そんな方にオススメしたいのが「ロシアン・ルーレット」(97分、アメリカ)。グルジア出身の新鋭監督が、自身の出世作をハリウッドリメイクしたギャンブルドラマだ。

 ここで描かれる賭け事のルールはじつに単純。17名で輪になって前のやつに銃口を押し付け、ロシアンルーレットをやるだけ。最後まで生き残った1名と、勝者に賭けた周りの大金持ちが大金を得るという仕組み。100%アンダーグラウンド、あったら怖い賭博場だ。

 予想されるとおり、実際に輪になって命を懸けあうのはわけありの連中ばかり。借金で首が回らないとか、大金目当ての命知らずとか、強引に連れてこられた囚人とかそんな強面ばかりだ。スポンサーとなる金持ちたちは、人の生き死にをニヤニヤ見物する悪趣味な変態というわけだ。

 そこになぜか、事情を知らぬまま強制参加させられる若者が一人いるのだが、それがこの物語の主人公。彼はたまたま職場で金になりそうなゲームの話を盗み聞きして、こっそりその男の代わりに会場まで来てしまっただけ。よもやその「ゲーム」が、リアルロシアンルーレットなどとは夢にも思わず。まさに好奇心は身を滅ぼす典型だ。泣きそうになりながら第一試合開始の報を聞く、恐怖とあきらめの表情はあまりに生々しく、そしてちょっと笑える。

 その後の展開は、あるときは予想通り、そしてあるときは予測を裏切られるまさにゲーム風味。緊張感と先読み困難なスリルを、参加者と一緒に味わえる。

 このおっかないスリラーを見れば、はたして出版業界のギャンブル好きな連中も、今後は遅刻しなくなるだろうか。……たぶん無理だろうが、それでも映画は面白い。

 

■作品データ
ロシアン・ルーレット
13
2011年6月18日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2010年/アメリカ/97分/カラー/シネマスコープ/DOLBY DIGITAL/字幕翻訳:川又勝利/提供・配給・宣伝:プレシディオ

スタッフ
監督・脚本:ゲラ・バブルアニ
製作:リック・シュウォーツ、アーロン・カウフマン、ヴァレリオ・モラビート
共同製作:イリアナ・ニコリック
製作総指揮:ブライアン・エドワーズ、ジャネット・ビュアリング、マギー・モンティース
共同製作総指揮:ジョン・マイケルズ
製作総指揮/UPM:キャロライン・ヤズコ
撮影:マイケル・マクドノー
プロダクション・デザイナー:ジェーン・マスキー
キャスティング・ディレクター:アヴィ・カウフマン
コスチューム・デザイナー:エイミー・ウェストコット

キャスト
ヴィンス・フェロー:サム・ライリー
ジャスパー・バッジェス:ジェイソン・ステイサム
パトリック・ジェファーソン:ミッキー・ローク
ロナルド・リン・バッジェス:レイ・ウィンストン
ヘンリー:マイケル・シャノン
ジミー:カーティス・“50 Cent”ジャクソン
アイリーン:エマニュエル・シュリーキー



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