トップページ激映画批評

激映画批評

今月のオススメ


ソーシャル・ネットワーク

◆ネットビジネスに興味ある人は必見(60点)

 インターネットが登場して、多くの人がそこにビジネスチャンスを見た。もちろん今でもチャンスはあるだろうが、かつては信じがたいほどにボロい儲け話がそこかしこに存在した。ネット黎明期は、それこそアダルトサイトのバナーを並べるだけで月収40万円くらいは楽勝だったと実践者から聞いた事があるし、携帯サイト登場期の広告などは1クリック40円なんて高単価が普通であった。「入口はこちら」をクリックしたら広告だったなんてのは序の口、騙しリンクだらけで実はコンテンツが何もないなんて非道が当たり前だった時代だ。

 だが、本当の天才はそんな子供だましではない、デカい商売を思いつくもの。映画「ソーシャル・ネットワーク」(アメリカ/120分)の主人公、マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)はその最たる存在で、彼がハーバード大学生時代に数日で作り上げた会員制交流サイト「Facebook」は、いまや全世界に登録ユーザーが5億人。サイトは数十兆円の評価価値があるとされる。

 映画は彼が実現した怒涛のアメリカンドリームとその後の泥沼の訴訟劇を、やや突き放した視線で描く。青春ものとビジネス成功譚を混ぜ合わせた刺激的な実話ドラマだ。

 「Facebook」は最近でこそ日本進出が目立つが、先行した日本発のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)mixiに押され、それほど会員数を増やせてはいない。本名登録あたりまえ、見知らぬ人とも気軽にやり取りする英語文化圏ならではの無防備さは、個人情報保護に厳しい日本人には受け入れがたい部分だろう。本作を見ると、その日米文化ギャップがよくわかる。

 そもそも成り立ちからしてユニークだ。マークは優秀だがモテない学生で、失恋の腹いせで学内ネットをハッキング。女子学生のデータを盗んでウハウハ喜んでいるというキモオタである。だがそのデータを使って作った「クラスメートの赤裸々情報アングラサイト」が大人気となり、結果的にFacebookのアイデアを思い付いた。つまりぶっちゃけた話、人々のストーキング気質を理解する素質があったから大ブレイクできたわけだ。

 結局のところ、発想そのものは「入口はこちら」→クリックしたらアダルトサイト、の3流ビジネスと大差ない。ただし、かたや月収40万円どまり、かたや年収数百億円。ネット起業の奥深さを、これほど見事に描いた作品はこれまでなかった。ネットビジネスに興味ある人は必見だ。

 もっとも見たからと言って、成功は何一つ保証されないわけなのだが。

 

■作品データ
ソーシャル・ネットワーク
The Social Network
2011年1月15日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
2010年/アメリカ/カラー/120分/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

スタッフ
監督:デヴィッド・フィンチャー

キャスト
ジェシー・アイゼンバーグ
アンドリュー・ガーフィルド
ジャスティン・ティンバーレイク
ほか



ページの先頭へ戻る