トップページ激映画批評

激映画批評

今月のオススメ


ゾンビランド

◆決してあなどれない、非オタク監督による異色ゾンビ映画(75点)

 年をとると、人は保守的になるといわれる。コンビニにいって、見たことあるパッケージの菓子ばかり買うようになったら要注意。テレビの新番組に興味がなくなり、水戸黄門や大岡越前の再放送が気になるようになればもう立派なオジサンだ。

 映画でいえば、それはゾンビ映画にあたる。毎年飽きもせず作られるこのジャンルは、すでに様式美が確立していて観客に余計な説明をする必要がない。作る側も安心、見る側も安心して楽しめる。これぞアメリカの大岡越前、永遠のマンネリ時代劇のごときモノである。

 そのゾンビ映画の新作が、なんと史上まれにみる大ヒットを記録したという。これはある意味大ニュースだ。そんな「ゾンビランド」は、コメディベースにロードムービーとロマンスの要素を組み合わせた変り種。おまけに監督は「これまでゾンビ映画なんて見たことない」などと語るフツーの人。マニア揃いのゾンビ映画監督の中では異色中の異色だ。

 だが、そんな新人監督が、ホラーオタクに媚びず、過去作へのオマージュなどといった寄り道もせず、ひたすら面白さだけを追及した結果、本作は万人に愛される好編となったわけだ。

 舞台は国民ほぼ全員がゾンビウィルスに犯されゾンビ化したアメリカ。だが主人公の青年(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ひきこもりだったおかげでいまだに生き残っている。ネトゲ仕込みの反射神経と射撃テク、ひきこもりならではの臆病さからくる異様な用心深さを武器に、彼は今日もサバイバルを続けるが……。

 現代的──といっていいのかはともかく、そんな弱々しい主人公が故郷へ向かう途中、どこかキレたマッチョオヤジ(ウディ・ハレルソン)と出会い、ゾンビをぶち殺しながら珍道中を繰り広げる。やがて出会った不二子ちゃんも真っ青のティーン悪女に振り回されたりと、およそゾンビ映画らしくない展開が楽しい。

 こうした定石破りやフラグ崩し自体が新鮮な上、突き抜けたエンディングにより類まれな鑑賞後感の良さを味わえる。なるほど、こういうゾンビ映画はありそうでなかった。そして私たちは気づくのだ、俺たちが見たかった大岡越前、いやゾンビ映画はまさにこういうものだったんだな、と。近頃保守的なオジサンにぜひすすめたい、意外なほどに楽しめる一品である。


■作品データ
ゾンビランド
Zombieland
2010年7月24日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国夏休みロードショー!
2009年/アメリカ/カラー/88分/提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 配給:日活

スタッフ
監督:ルーベン・フライシャー
製作:ギャヴィン・ポローン
製作総指揮:エズラ・スワードロー/ポール・ワーニック/レット・リース/ライアン・カヴァナー
脚本:レット・リース/ポール・ワーニック
撮影:マイケル・ボンヴィレイン
音楽:デヴィッド・サーディ
美術:メイハー・アーマッド
編集:ピーター・アムンドソン/アラン・ボームガーデン
衣装:マガリー・ギダッシ
特殊効果:ポール・リンデン/ゾイック・スタジオ

キャスト
ウディ・ハレルソン
ジェシー・アイゼンバーグ
アビゲイル・ブレスリン
エマ・ストーン




ページの先頭へ戻る