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トイ・ストーリー3

◆15年の月日を感動に変換した良質脚本(95点)

 大人向き映画紹介コラムでこういう作品を取り上げるとき、なんだアニメ映画かよ、という人も最近はずいぶん減った。とくにジブリやピクサー作品は、ジャンルの壁を越えた良質映画作品の代名詞としてとっくに市民権を得ている。

 そもそも「トイ・ストーリー」の最新作は、子供向きといえるのだろうか。このピクサーアニメの代表的シリーズは95年にはじまったもので、今回のパート3にいたるまでに15年の月日が流れている。たとえば8歳で一作目に夢中になった少年少女がいたとして、今では小さい子供がいるお父さんお母さんになっていても不思議はない。そして重要なことに、"この3作目の脚本は、作品世界と観客たちの現実世界で流れた月日を最大限に生かした展開になっている"。

 17歳になったアンディ(声:ジョン・モリス)は大学入学が決まり、引越し準備を始めている。かつてお気に入りのおもちゃだったウッディ(声:トム・ハンクス)や、当時は最新の玩具だったバズ(声:ティム・アレン)は、いまでは古びてほかのおもちゃと共に玩具箱の中。もう長いことアンディと遊ぶどころか、取り出されることもない。引越しにあたり、彼らの多くは屋根裏にしまわれる事となったが、アンディの母親の手違いから近くの保育園へと寄付されてしまう。

 どんなに愛されたおもちゃも、子供の成長を止めることはできない。つまり、いつか必ず離れる日が来る。この3作目が描くのは、そんな「別れの時」。子供たちに感動を与え続けたトイ・ストーリーシリーズの完結編といっていい内容だ。

 子供たちの寵愛を受け、決して消えることのない強固な愛着で結びついていたかにみえた玩具たち。その幸せな日々が終わるドラマが、これほど心に響くのはなぜだろう。大人になった観客たちは、無限の楽しさを共にしたかつてのおもちゃたちを思い出し、そのかけがえのない幸福な記憶をこの映画で呼び起こされ、いまだ残る彼らへの愛着を思い出す。中でも15年前からリアルタイムで本シリーズを見た人々は、映画から受ける感動の変化に気づき、より切なさを感じられよう。子供がおもちゃで遊ぶとき、文字通りハリウッド超大作のような大冒険世界が脳内で繰り広げられている。それを表現したスペクタクルシーンは、多くの人たちの心の琴線にふれるだろう。

 進化したはずのCGは、あえて旧作と同じに見えるよう慎重に調整され、技術の進歩をひた隠しにする。それほど脚本に自信があるという事だが、実際その通りなのだから文句はない。泣ける度は100点満点。3D作品の初日興収およびファミリー映画史上1位の輝かしい記録もうなづける、この夏屈指の大傑作だ。


■作品データ
トイ・ストーリー3
Toy Story 3
2010年7月10日(土)全国ロードショー
ディズニーデジタル3D(TM)&IMAX(R)3D 同時公開
2010年/アメリカ/カラー/110分/配給:ブエナビスタ・インターナショナル(ジャパン)

スタッフ
監督:リー・アンクリッチ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター

キャスト(声の出演)
唐沢寿明
所ジョージ




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