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ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

◆ゲーム好きをうならせる完璧なシナリオ(90点)

 電車通勤する人なら気づいていると思うが、車内における時間つぶしの中で最近目立つのが、携帯ゲーム機で遊ぶ人たちだ。一昔前なら携帯メール、もっと前なら漫画雑誌を読む人ばかりだったが、今ではめっきり減った。

 「人生はゲーム」と歌ったのは南佳孝だが、考えてみればサラリーマンの日常はまさにそれ。役割を演じ、ポイントを稼ぐロールプレイングゲームそのものだ。その上さらに毎朝PSPやらDSに没頭するのだから、日本人のゲーム好きは筋金入りというほかない。

 「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」の前編たるテレビドラマが大ヒットしたのも、そんな国民性によるところが大だろう。ある日、怪しげな団体から突然見覚えのない1億円が届き、それを指定の対戦相手と奪い合うゲームに、ほとんど強制参加させられる。その素っ頓狂な原作漫画の出だしを読めば、誰でも無性にうずうずしてくる。

 この映画版は、そんな究極の人間模様「ライアーゲーム」の待ちに待った決勝戦。一癖もふた癖もある参加者たちの中で、唯一「馬鹿正直」と揶揄されるまっとうな性格のヒロインが、自らの価値観と生存をかけて戦うパズラーサスペンスだ。

 戸田恵梨香演じるこのヒロインを体を張って守るのが、松田翔太演じる元天才詐欺師。人の心理を読み、誘導する能力に誰よりも長けたこの純然たる悪党は、ライアーゲームの場においては最強の守護神でもある。だが、今回のメンバーの中には彼を刺そうと狙う蜂のごとき人物が潜んでいる。はたして彼は無防備な彼女を、そして自分自身を守りきれるのか。

 「SAW」や「カイジ」など、ゲーム的要素を含む映画が日本でも高評価を得ているが、これはそれらを凌駕する面白さ。133分間で描かれるのは「エデンの園ゲーム」というたった一つだけだが、このオリジナルゲームの出来のよさといったらない。

 密室である投票室内で、金銀赤のりんごのうち1つを全員が順に投票するこのゲーム。投票されたりんごの内訳によって、億単位の金が各参加者にプラス、あるいはマイナスされる豪快かつ繊細なルールだ。

 ポイントは、全員が赤を投票した場合のみ、全員に1億円がプラスされるが、一人でも「裏切り者」が出たら赤投票者は皆マイナス1億円という部分。つまり、全員が裏切らず赤を入れ続ければ、もれなく全員が勝利者になれるのだ。

 純情なヒロインは、みんなで協力しての赤投票を提言するが、はたして一見すばらしいその提案の結果はどう出るか?

 こんなにワクワクし、頭を使い、没頭できるシナリオはハリウッド映画にさえ見当たらない。2人の脚本家と監督が何百回とシミュレーションし練り上げた「エデンの園」ゲームの高い完成度のおかげで、本作は他に類を見ない高品質な純粋ゲーム映画となった。目が肥えたゲーム好きの通勤サラリーマンでも、これをつまらないという人は一人もいないはずだと断言しておこう。


■作品データ
ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ
2010年3月6日 全国東宝系ロードショー
2010年/日本/カラー/133分/配給:東宝

スタッフ
原作:甲斐谷 忍「LIAR GAME(ライアーゲーム)」(ヤングジャンプコミックス)
監督:松山博昭
製作:フジテレビ 他

キャスト
戸田恵梨香
松田翔太




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