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あの日、欲望の大地で

◆美女二人の裸と構成の妙に酔う(80点)

 子供や妻がいると、家庭内におけるテレビ番組選択基準が変わる。現在は『11PM』のごとき過激番組はほぼ絶滅したので元より選択肢にないが、それでも内容に気を使う点は同じ。濡れ場を子供に見せるわけにはいかないし、不倫ものを女房の前で見ていたら、痛くもない腹を探られかねない。結局見るのはニュースと野球くらいになってしまう。一家の大黒柱の息抜きタイムが、はたしてそんなぬるいものでいいのか?

 いいはずがない。そんな男性諸氏は、迷わず映画館に行くべきだ。そのためのガイドとしてこのコーナーも存在する。そして今回、そんな男たちに紹介するのは前述の2項目をたっぷり楽しめる『あの日、欲望の大地で』(106分/アメリカ)。

 欲望の大地とはただ事ではない。邦題からは、底なしの肉欲とエロスが感じられる。名付け親の宣伝責任者はきっと脂ぎった中年男だろう。問題は、映画の内容と相当かけ離れているという点であるが、それにしても味わい深いタイトルである。ちなみに原題は「The Burning Plain」。

 出演はシャーリーズ・セロン&キム・ベイシンガー。金髪美女と金髪美熟女の強力コンビだ。二人ともオスカー受賞者だから演技力も申し分ない。そしてうれしい事に、どちらも美しい肢体のすべてを見せてくれる。

 彼女たちはそれぞれ、まったく関係ないように見える二つの物語のヒロインを演じる。セロンはメイン州の高級レストランのマネージャーながら、行きずりの男と情事を繰り返すわけありの女を。キムはニューメキシコ州の乾いた荒野のど真ん中に配置されたトレーラーハウスで、隣町の中年男と密会を繰り返す不倫妻を。

 この二つの話はそれぞれ魅力的な謎に満ちており、交互に進行するため退屈知らず。そして大事なことは、これは『バベル』(06年)の名脚本家ギジェルモ・アリアガが、構想含め15年間もかけて書いた脚本を自ら監督したものであるという事。あちこちに仕掛けられた伏線が最後に収束する構成の妙を、存分に楽しめる大人のドラマでもあるわけだ。

 高いハイビジョンテレビを買ったはいいが、結局ファミリー向け番組しか見られずストレスをためているお父さんの娯楽として、本作はめったにないイチオシのサスペンスといえるだろう。


■作品データ
あの日、欲望の大地で
The Burning Plain
2009年9月26 日(土)よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ他にて全国順次ロードショー
2008/アメリカ/英語・スペイン語/カラー/シネスコ/SRD・ DTS・SDDS/106分/配給:東北新社

スタッフ
監督・脚本:ギジェルモ・アリアガ
衣裳:シンディ・エヴァンス
音楽:ハンス・ジマー、オマー・ロドリゲス・ロペス
編集:クレイグ・ウッド
プロダクション・デザイン:ダン・リー
撮影監督:ロバート・エルスウィット

キャスト
シャーリーズ・セロン
キム・ベイシンガー
ジェニファー・ローレンス
ジョン・コーベット
ヨアキム・デ・アルメイダ
ダニー・ピノ




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