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サンシャイン・クリーニング

◆サンシャイン・クリーニング(85点)

 完全失業率は5%を超え、有効求人倍率も過去最低水準。とくに若者の雇用状況は、依然として厳しい状況だ。こういう時代に生活防衛するには、なりふりかまってはいられない。しかし、『サンシャイン・クリーニング』(92分/アメリカ)の主人公姉妹が選んだ仕事は、それにしても凄まじい「清掃業」だった。

 高校時代、学園のアイドル的存在でありながら、30代となった今は私生児を抱えて不倫真っ只中。負け組街道まっしぐらのローズ(エイミー・アダムス)は、仕事もさえない家政婦。妹のノラ(エミリー・ブラント)も、俗に言うパラサイトシングルでバイトさえ満足にこなせない。おまけに同居中の父親さえも、儲け話に次々手を出し、まともな定職にもつけぬ始末。そんな日々を変えるため、息子と家族のため、ローズは特殊清掃業の開業に活路を見出す。

 その「清掃業」とは、「事件現場のクリーニング」。平たく言えば、人殺しや遺体発見が遅れた現場等々、想像するにエグい場所を元通りにする仕事。不倫相手が警察官だった事から、ローズはこの究極のスキマ産業にチャレンジする。

 主人公が婚活崖っぷちの30代女性という点、さらに元チアリーダーという「栄光から転げ落ちた」美人であることが、よけいに悲壮感を感じさせる。「ダメ人間が追い詰められ、最後の意地を見せる」典型的なルーザー映画で、いまどきは日本でも過半数が下流とさえ言われる時代だから、女性に限らず姉妹の心情に共感できる観客は数多いだろう。

 ストーリーは、脚本家ミーガン・ホリーが仕事の合間に少しずつ書き上げ、シナリオコンテスト優勝を勝ち取ったもの。人気原作やスター俳優ではなく、「中身で勝負」の良質映画だ。様々な形で人生を終えることになった人々の部屋を、美しく整える姉妹の仕事は、ある意味究極の人間ドラマに立ち会う事と同義だ。

 経験も知識もないが、必死に虚勢を張り、仕事を掴み取る姉妹の姿が清清しい。人間、底辺の苦しみに耐える最後の綱は、自分に対するプライドだ。たとえどんなにちっぽけでも、折れやすくとも、それを守ろうとする土俵際のふんばり。見ていると涙が出る。


■作品データ
サンシャイン・クリーニング
Sunshine Cleaning
2009年7月11日、渋谷シネクイント、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2009年/アメリカ/カラー/92分/配給:ファントム・フィルム

スタッフ
監督:クリスティン・ジェフズ
脚本:メーガン・ホリー
プロデューサー:ピーター・サラフ、マーク・タートルトープ、ジェブ・ブローディー、ダレン・ウィリアムソン
製作:ビッグ・ビーチ・フィルムズ、バック・ロット・ピクチャーズ
提供:ファントム・フィルム
配給:ファントム・フィルム

キャスト
エイミー・アダムス
エミリーブラント
アラン・アーキン
スティーブン・ザーン
メアリー・リン・ライスカブ




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