トップページ激映画批評

激映画批評

バックナンバー


おっぱいバレー

◆(85点)

 よりにもよって「おっぱいバレー」とは、とんでもないタイトルだ。しかも、後述するがこの作品の対象年齢層は、あきらかに40代男性。ダンディなスーツに身を包んだ紳士が、おしゃれじみたシネコンの料金窓口で、このチケットを買うことの困難さを想像してみてほしい。映画のタイトルを口にしたとたん、まわりの親子連れの白い目線にさらされ、受付の女の子の嘲笑に近い表情の変化に打ちのめされる。そんな試練を乗り越えてでも、映画館に見に行けというのか。

 北九州のとある公立中学。明るく真面目な性格の寺嶋美香子(綾瀬はるか)が、新任教師としてやってきた。素人ながら男子バレーボール部の顧問に任命された彼女は、エロばかりに興味を持ち、まるでやる気のない部員たちに愕然。なんとしてもモチベーションを高めたい一心で、思わず「一勝したらおっぱいを見せる約束」をしてしまう。

 おっぱいだけでも凄いのに、業界(何のだ)トップクラスと評される綾瀬はるかのそれとなれば、劇中の少年たちならずとも本気を出すこと確実。ここから、史上もっとも不純な動機の、感動スポ根ドラマが始まる。

 そう、『おっぱいバレー』は、じつは感動ドラマ。それも、猛烈なまでの号泣スポーツドラマだ。女教師には、前任校で犯した教育者として致命的な失敗がトラウマとしてのしかかっており、それがこれほどに子供たちに尽くす理由として、後に明かされる。

 純度100%のエロガキと思われていた部員たちが、後半の大事件のあとに校長室で見せる姿がまた泣ける。そこまで笑いっぱなしだった分、一気に涙腺に襲い掛かるがごとく、来る。

 時代は1979年に設定されているが、これがまた絶妙。ネットが普及する以前、おっぱいとは、中学生にとって生き方を変えるくらいの神秘的な魅力があったのだ。深夜番組の『11PM』をドキドキして見た30〜40代以降のための映画と書いたのは、それが理由だ。劇中使われる楽曲も、心の琴線に触れる懐メロばかり。

 だから恥ずかしがることはない。堂々と受付嬢に言おう、「『おっぱいバレー』大人一枚!」と。


■作品データ
おっぱいバレー
2009年4月18日(土)より、全国ロードショー
2009年/日本/カラー/112分/配給:ワーナー・ブラザース映画、東映

スタッフ
原作:水野宗徳 著 「おっぱいバレー」(リンダパブリッシャーズ)
監督:羽住英一郎
脚本:岡田惠和

製作:日本テレビ、エイベックス・エンタテインメント ほか
制作プロダクション:ROBOT
共同配給:ワーナー・ブラザース映画/東映

キャスト
綾瀬はるか
青木崇高
仲村トオル
石田卓也
大後寿々花
福士誠治
光石研
田口浩正
市毛良枝
木村遼希
高橋賢人
橘義尋




ページの先頭へ戻る