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感染列島

◆本格的医療パニック大作が、好調の邦画界から登場(70点)

 ノロウイルスからインフルエンザ、果てはWinnyまで、感染に関わるニュースが聞かれぬ日はない今日このごろ。花粉症の季節以外でも、コンビニのマスク販売コーナーはすっかり常設化。電車内で風邪予防する人も増えている。

 そんな世相を反映してか、その名も『感染列島』(138分/日本)なる邦画大作が登場した。「アウトブレイク」(95年、米)など類似テーマの作品はいくつかあるが、パンデミックと呼ばれる、爆発的に感染が広がる様子の描写に焦点を当てたものは世界初だという。

 若き救命救急医(妻夫木聡)の元に運ばれてきた患者は、医師の想像をはるかに超えた激烈な経過をたどり絶命した。やがて院内に次々と同じ症状の感染者が発生。半ばパニックになりかけた病院に、WHOから、感染拡大を食い止める専門家であるメディカルオフィサー(檀れい)がやってくる。

 謎のウイルスの感染が始まり、その後主人公たちの主戦場となるのは決して感染症の専門病院ではない。だから、未知なるウイルスの恐怖を前に、当初は精神的に打ちのめされるスタッフが続出する。最前線で戦うはずの医療従事者たちが、顔面蒼白になって逃げ出す。ある意味、この映画で一番恐ろしい場面かもしれない。

 医療のプロフェッショナルとて、誰もがヒーローというわけではない。このあたりは洋画とは違う、いかにも日本的で冷静な描写といえる。こうした作品に、ハリウッドが真っ先にリメイクオファーをしたというのも興味深い。

 やがて空気感染が明らかになり、日本の大都市はあっという間に崩壊。廃墟と化していく様子はまさに映画的スペクタクル。無人の銀座を主人公らがとぼとぼ歩く姿は、ショッキングそのものだ。

 終盤、叙情的になりすぎるあたりが玉に瑕だが、これほど本格的な国産メディカルサスペンスが現れたのは嬉しい限り。たるみかけた国民の危機意識を喚起するにもたいへん有効だ。まずは、さっそくコンビニでマスクでも買ってこよう。ホコリくらいは防げるはずだ、たぶん。


■作品データ
感染列島
2009年1月17日(土)より、全国東宝系ロードショー
2009年/日本/カラー/138分/配給:東宝

スタッフ
監督・脚本:瀬々敬久
プロデューサー:平野隆
企画:下田淳行

製作:映画『感染列島』製作委員会
TBS/東宝/電通/MBS/ホリプロ/CBC/ツインズジャパン/小学館
/RKB/朝日新聞社/HBC/RCC/SBS/TBC/Yahoo!JAPAN

キャスト
妻夫木聡
檀れい
国仲涼子
田中裕二(爆笑問題)
池脇千鶴
カンニング竹山
佐藤浩市
藤竜也




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