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K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝

◆かつて小林少年や明智探偵に憧れた男たちに(75点)

 小学生の時分、読書といえばもっぱら学校の図書館にあるものだった。ご多分に漏れず勉強嫌いだった私は、その書棚に並ぶ中でほとんど唯一とっつきやすいと思われる物語小説ばかりを読んでいた。オカルト風味にあふれ、胸躍る謎とアドベンチャーを期待させるレトロな絵柄の表紙。それは、江戸川乱歩の子供向け少年探偵シリーズだった。

 やがて思春期を迎えたころ、明智小五郎を天知茂が演じた、テレビの土曜ワイドシリーズで乱歩ワールドに再会した。何の必然性もなく登場するお色気シーン目当てに、親の目を盗んで夕方の再放送にかじりついたものだ。

 江戸川乱歩が日本の推理小説界の黎明期に多大な功績を残したミステリ作家で、決して子供向け小説家、あるいはエロドラマの原作者などではなかったことを知るのはさらに後のこと。

 このたび実写化された「K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝」は、彼が創造した代表的キャラクター・怪人二十面相を主人公にしたアクションドラマ。乱歩を映像化する際、これまで様々なアプローチが試みられたが、本作はまさに前述した一連の少年向け小説に親しんで育った私のような世代向けの(断じて子供たちが主たる客層ではない)、オヤジ向けエンタテイメントとなっている。

 舞台は1949年だが、大戦を回避した日本という興味深い設定。戦争で焼け野原になる事無く、ある意味いびつなまでの発展を見せた大都市・東京の街並は、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズのVFXスタッフが腕によりをかけて構築した。

 広がる格差が生み出したスラム街を従えるかのごとく中心部にそびえ立つ巨大ビルヂング。空にはオートジャイロが飛び回る。オープニングに流れるこの不思議な帝都の風景は、かつて図書室で体験した冒険への期待を沸き立たせるに十分。

 K-20こと怪人二十面相に騙され、濡れ衣を着せられる主人公を金城武が演じる。サーカス団員としての身体能力を生かして二十面相を追跡するスタントアクションは世界レベルの面白さ。美味しいところを持っていく仲村トオルの明智探偵もダンディで悪くない。

 話のスケールも見せ場も大きく、かつて乱歩に親しんだ人たちが、気楽に楽しむのに適している。


■作品データ
K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝
2008年12月20日(土)より、全国東宝系ロードショー
2008年/日本/カラー/137分/配給:東宝

スタッフ
監督:佐藤嗣麻子
原作:北村想(「完全版 怪人二十面相・伝」)
製作:「K-20」製作委員会

キャスト
金城武
松たか子
仲村トオル
國村隼
高島礼子
本郷奏多
今井悠貴
益岡徹
鹿賀丈史




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