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特命係長 只野仁 最後の劇場版

◆お色気と笑いとアクションを詰め込んだ大サービス映画版(70点)

 柳沢きみおの漫画は、サラリーマンにとってオアシスのような存在だ。週刊現代から日刊ゲンダイに連載の場を移した『特命係長・只野仁』は特にそうだ。

 疲れきった中間管理職・佐川課長とEDに悩むダンディー男・入江部長の含蓄ある(?)やりとりには、私としても毎回大いにうなづく部分が多かったりする。人々がせわしなく行きかう東京の夜景を眺めつつ「100年後にはどうせみんないなくなっちまうのになぁ……。」とぼやく姿は、まさに男の哲学漫画の独壇場だ。

 やがて深夜ドラマになったこの傑作コミックは、今回スクリーンへと大出世した。そんなわけで、普段「テレビドラマの映画化なんてくだらねぇ」と一笑に付す方々も、今回ばかりはお付き合いいただけたらと思う。

 大手広告代理店のボンクラ係長、只野仁(高橋克典)の裏の顔は、あらゆる汚れ仕事を社内で処理する会長(梅宮辰夫)直属の"特命係長"。今回の特命は、社運をかけたイベントのキャンギャルを務めるアイドル(秋山莉奈)の護衛。彼女は悪質な脅迫にさらされていたのだった。

 このアイドルを演じる秋山莉奈は、オシリーナの異名をとる美尻グラドル。彼女を写す際、カメラがことごとくローアングルになるのには笑った。

 ほかにも若者から熟女まで、お色気担当の女の子が多数登場。お茶の間じゃ落ち着いて見られない濡れ場の数々を、全国のお父さんたちに映画館でじっくり堪能してもらおうという、ありがたいサービスとなっている。

 漫画版の魅力で、私がもっとも愛する要素でもある冒頭のようなサラリーマン美学の披露は控えめだが、深夜ドラマ版をそのままゴージャスにした形なので映画らしい迫力、満足度はそこそこある。とくに、最大の敵として只野と肉弾戦を戦う用心棒役には、K1ファイターで韓国の誇る巨人チェ・ホンマンを大胆起用。スクリーンからはみださんばかりの巨躯で大暴れする。

 決して立派な映画作品でもなければ、記憶に残る名作でもないが、ちょいといかがわしい、昭和の深夜番組の香りを残す「オジサン向けドラマ」の映画化として、冗談のわかる人にぜひ見てほしい一本だ。


■作品データ
特命係長 只野仁 最後の劇場版
2008年12月6日(土)より、丸の内ピカデリー2ほか全国ロードショー
2008年/日本/カラー/115分/配給:松竹

スタッフ
原作:柳沢きみお
監督:植田尚
脚本:尾崎将也

キャスト
高橋克典
櫻井淳子
永井大
蛯原友里
三浦理恵子
梅宮辰夫




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