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トロピック・サンダー/史上最低の作戦

◆90億円かけたおバカ映画(70点)

 ベン・スティラーという男がいる。アメリカで大人気のコメディ映画監督(兼俳優)……ときけば、たいてい日本では無名、てなパターンがお定まりだが、彼の場合は出演作『メリーに首ったけ』(98年)の大ヒットでご存知の方も多いだろう。最近でも『俺たちフィギュアスケーター』(07、製作)、『ドッジボール』(04、製作・出演)といった、おバカ率の高い脱力系ギャグ映画の佳作を送り出している。

 そんなマニア好みのする彼が、このたび超大作の監督&主演をすることに。何をトチ狂ったか90億円もの製作費をブチこんだものの、出来上がったのはやっぱりおバカムービー。それも史上最低と銘打たれた、強烈な一本だ。

 ベン・スティラー演じる落ち目のアクションスターと、イメチェンをはかりたいお下劣コメディアン(ジャック・ブラック)、究極の役作りで知られる演技派俳優(ロバート・ダウニー・Jr)たちが、新作の戦争映画で共演するという設定。ところが暴走した監督と原作者は、リアリティを出すため彼らをなんと本物の戦場に送り込む。そんな事とはつゆ知らぬ出演者は、実弾飛び交う紛争地帯で見当違いの熱演を繰り広げるが……。

 序盤はハリウッド商業映画の撮影風景を皮肉たっぷりに描く風刺劇。カメラの向こう側を垣間見れるのは、映画ファンには楽しい限り。劇中劇のアクション、特にナパーム弾炸裂の場面などは、撮影地のハワイ島住民が本気でぶったまげた程の火薬量。下手なエンタ映画顔負けのド迫力だ。さすが、90億円は伊達じゃない。

 そう、本作はマヌケな3人組の勘違いぶりを笑うギャグ映画ながら、戦争アクションとして超ド級。そのギャップが笑いと痛快感を生みだしている。

 アメリカ映画好きなら、有名スターたちをケチョンケチョンにけなす毒舌も笑える。さらに、さりげなくその本人がゲスト出演する豪華な演出にも驚くだろう。

 お笑いのプロに90億与えると、これだけのものができる。結果は見事、映画史上に残る話題作『ダークナイト』を連続興収1位の座から引き摺り下ろす大ヒット。とはいえ、制作費をかけすぎて、儲けが出るかはまだビミョーとか。最後まで笑わせてくれる。


■作品データ
トロピック・サンダー/史上最低の作戦
Tropic Thunder
2008年11月22日(土)より、丸の内ピカデリー1他全国公開
2008年/アメリカ/カラー/107分/配給:パラマウント

スタッフ
監督:ベン・スティラー
脚本:イータン・コーエン、ジャスティン・セロー
製作:ベン・スティラー、エリック・マクレード、スチュワート・コーンフェルド
撮影:ジョン・トール
音楽:セオドア・シャピロ
美術:ジェフ・マン

キャスト
ベン・スティラー
ロバート・ダウニー・Jr.
ジャック・ブラック
ニック・ノルティ
マシュー・マコノヒー




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