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櫻の園−さくらのその−

◆お嬢様学園を除き見る楽しみ(65点)

 お嬢様学園なんて言葉にピクンと反応するのは間違いなく男性のみであって、その意味でこの『櫻の園−さくらのその−』は、確実にオトコ専用の趣を感じさせる映画といえる。

 オリジナルである、中原俊監督が90年に発表した「櫻の園」(90年、日本)は、そんなわけで男性諸氏から圧倒的な支持を受ける"学園モノ"映画。監督がスケベ魂全開で、うら若き乙女たちを追い掛け回したこの傑作は、女子高生の、それも渋谷のセンター街あたりで地べたに座り込んでいるギャルとは正反対に位置する"お嬢様"たちの日常を、瑞々しく切り取った青春映画の金字塔として、日本映画史に燦然と輝いている。

 しかし、オトコの目でみた「あこがれのヒミツの園」を描いたはずのこの90年版、不思議なことに女子高出身者に見せても「とてもリアルだ」と評される。こんな絵に描いたようなクラシックな学園生活など、我々男どもはもちろん、彼女らだって知るはずがないのだが、確かにあの映画には不思議なデジャブ体験を味あわせてくれる、ノスタルジックな魅力がある。

 今回公開されるのは、リメイクではなくテーマと(おそらく)舞台を同じくする新作。かつて演劇部の伝統だったチェーホフ「桜の園」公演が、いつしか中止された謎と、その復活を願うヒロインの純粋な情熱を描く、ガチガチのガールズムービー。

 主演の「国民的美少女」福田沙紀はじめ、米倉涼子や菊川怜、上戸彩などオスカープロモーションの誇る美人タレントが総出演。だが、オリジナルで好評を得た古風で切ないムードを引き継いでおり、そんじょそこらのお手軽アイドル映画とは一味違う。

 下校時には校舎に向かって「ごきげんよう」と挨拶する、いまどきどこに生き残っているのか不明な、本物の大和なでしこの世界を覗き見る楽しみ。そして、狭く小さい世界で様々な少女たちが、それぞれ自分なりに精一杯生きている姿を見る清清しさ。そんなことをすがすがしいなどと書いてしまう時点でオジサン決定という感じがするが、それにしてもやはり青春映画というのは、年をとってみても大変良いものである。


■作品データ
櫻の園−さくらのその−
2008年11月8日(土)より、全国ロードショー
2008年/日本/カラー/102分/配給:松竹

スタッフ
監督:中原俊
脚本:じんのひろあき
原作:吉田秋生

キャスト
福田沙紀
寺島咲

はねゆり
大島優子
武井咲




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