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イーグル・アイ

◆神の目に守られる主人公の行く末とは(95点)

 かつてトニー・スコット監督は『エネミー・オブ・アメリカ』(98年、米)という大作で、お気楽アクションに見せかけた痛烈な社会批判を行った。最近では『LOOK』(07年、米)でアダム・リフキン監督が、防犯監視カメラからの映像のみで劇映画を作ってしまった。どちらも、権力による国民監視社会への警鐘を鳴らす、興味深い作品だ。

 全世界通信傍受システム"エシェロン"が運用されるこの時代。こうした問題に興味を持つ映画人は多い。かのスティーヴン・スピルバーグもその一人で、製作総指揮した最新作『イーグル・アイ』(118分/米国)は、10年間の構想を実現させた意欲作。

 シカゴのコピー店員ジェリー(シャイア・ラブーフ)は、帰宅したアパートに覚えのない大量の武器弾薬が届き愕然とする。狼狽するところに鳴った携帯電話の相手は覚えのない女の声。「30秒以内に逃げなさい」と命ずるその通話が切れぬうちにFBIが部屋に突入、ジェリーはあっという間に囲まれてしまう。

 キレのいい冒頭からノンストップで大アクションが続く、ハリウッドにしか到底作りえない超大作。携帯電話の相手はいったいどこから見ているのか、主人公がどこにいようと的確な状況分析による指示を与えてくる。単なるワーキングプアの青年を、国家権力の追跡から逃がそうとする電話の主とは誰なのか。いったいどうやって彼女はジェリーの行動を計算しているのか。

 魅力的な謎かけを推理する間もないほどに、次々と予想外の展開が待ち受ける。ヒッチコック映画を現代に持ってきて、2万倍くらいド派手にしたような究極のエンタテイメントだ。

 スピルバーグが10年前の着想を実現できた背景には、現実世界がようやくこのSF的アイデアに追いついた面がある。冒頭に書いたエシェロンの認知が広まっているのもそうだし、携帯電話等の普及による電波の氾濫、町中にあふれるカメラの類はこの作品にリアリティをもたらすに十分。

 そう、携帯電話の謎の声は、そうしたハイテク機器、ネットワークをハイジャックしてジェリーを監視、指示を与えているのだ。誰だかわからないが、想像を絶するテクノロジーの使い手。そんな存在に守られながら、ジェリーは果たしてどこへ行くのか。ハイテク軍事ネタに興味のある人にもオススメの、この秋イチオシの優れたエンタテイメントだ。


■作品データ
イーグル・アイ
EAGLE EYE
2008年10月18日(土)より、丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー
2008年/アメリカ/カラー/118分/配給:角川映画、角川エンタテインメント

スタッフ
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、エドワード.L.マクドネル
監督:D.J.カルーソ

キャスト
シャイア・ラブーフ
ミシェル・モナハン
ロザリオ・ドーソン
マイケル・チクリス
アンソニー・マッキー
ビリー・ボブ・ソーントン




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