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アイアンマン

◆世界一強い社長さん(65点)

 全日本の武藤敬司はじめ、プロレス界では選手が社長を兼ねるケースは珍しくない。文字通り「戦う社長」というわけだが、同じ社長でも世界的軍事企業のそれが戦うとなれば話は別。アメコミ実写化『アイアンマン』(125分/米国)のトニー・スターク社長は、なんと自社の兵器を身にまとい、世界中のワルモノを叩きのめす。

 米軍はじめ各国軍隊に最新兵器を納入するスターク・インダストリーズのCEO(最高経営責任者)、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、視察先のアフガニスタンで武装組織タリバンの襲撃に遭い、拉致されてしまう。そこで彼は、命が惜しければ同社の最新ハイテク・ミサイルを生産せよと命じられる。

 ほこりだらけの洞窟でそんなモンを作れとは、無茶にもほどがあるが、主人公トニーは天才武器発明家。そこらに転がっている部品と、同様に拉致された物理学者の力を借りて、とてつもない兵器を作り上げてしまう。もちろん、テロリストのミサイルなどではなく、脱出用のバワードスーツだ。自らそれを着用したトニーは、飛行能力と怪力を獲得。やがてアイアンマンとして活躍することになる。

 アフガニスタンにおける襲撃、拉致シーンはマンガ原作モノとは思えぬ現実味があり、マジメな戦争映画そのもの。このリアリティが、のちの荒唐無稽な展開を受け入れるためのうまい前振りとなっている。アメリカでは女性を含む大人の観客に大好評だったと聞くが、その理由はこの辺にあろう。原作の筋立てを生かしながら、未読者をドン引きさせないバランスの良さ。これぞ、エンディングの好みに至るまで綿密な市場調査を行うハリウッドの得意技だ。

 自ら決めた方針が、合理的経営のための常識と多少違っていようが、臆することなく突き進む。バイタリティ溢れるトニー社長のモーレツぶりは、なんでも自分でやる(やらざるを得ない)日本の中小零細企業のシャチョーさんにとっても励みになる。不景気なこの時代、全国の経営者は「アイアンマン」を見て元気を出そう。


■作品データ
アイアンマン
IRON MAN
2008年9月27日(土)、日劇3ほか全国ロードショー
2008年/アメリカ映画/スコープサイズ/全7巻/3,444m/2時間5分/SDDS SR*D SR/字幕翻訳:松崎広幸/吹替翻訳:岸田恵子 字幕スーパー版/日本語吹替版 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

スタッフ
監督/製作総指揮 ジョン・ファヴロー
脚本 マーク・ファーガス
ホーク・オストビー
アート・マーカム
マット・ホロウェイ
撮影 マシュー・リバティーク,ASC
視覚効果 ジョン・ネルソン
音楽 ラミン・ジャワディ

キャスト
ロバート・ダウニーJR.
テレンス・ハワード
ジェフ・ブリッジス
グウィネス・パルトロー




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