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スパイダーウィックの謎

◆ゲームブックやファンタジー小説でおなじみのモンスターが (75点)

 "ゴールデンウィーク"の名付け親は映画業界というから、日本人なら大型連休には映画館に行くのが筋(?)というもの。しかしそこはお子様優遇のこの国のこと、この時期はコナンやらしんちゃんといった、おなじみの顔が主要館を占拠している。「大人も子供も楽しめる」と宣伝側はいうが、本当に楽しめる、いやせめて退屈せずにいられる作品はどれなのか。

 そこで私が出す解が、『スパイダーウィックの謎』(96分/米)。ファンタジー要素満載の、ミステリアスなアドベンチャーだ。

 母に連れられ森の奥の一軒家に越してきた三姉弟。好奇心旺盛なジャレッド(フレディ・ハイモア)は、屋根裏部屋で謎の本を発見する。「絶対に読むべからず」などと、どう考えても読んでくれとしか思えぬ注意書きを破り中を見ると、それは大叔父スパイダーウィックによる妖精の研究書。森や屋敷に住む、善悪多数の妖精たちの生態や弱点等が書いてあった。その先はお約束。封印を破ったことで邪悪な森のモンスターが現れ、ジャレッドは家族や本を守るため戦うことになる。

 ストーリーは小学生でもわかるよう単純明快だが、この手の作品にありがちな大風呂敷を広げず、こじんまりとまとめた点がポイント。たとえば舞台は屋敷(妖精よけのラインに囲まれ守られている)と森の邪悪妖精たちのアジト、そして物語の鍵を握る大叔母のいる療養所の三箇所だけ。あくまで現実世界のルールを尊重して話をすすめる手堅さにほっとする。

 なにより本作に出てくる妖精の類は、ゴブリン、トロール、グリフィンといった、欧州ファンタジーの伝統にそった地味なものばかり。主人公がじつは選ばれし勇者でうんぬん、なんて隠し設定もない。おかげでこの、ただの弱っちい人間の子供三人が、いったいどうやって敵モンスターを倒すのか心配になってしまうほどだ。

 全編質の良い童話を読んでいるような安心感があり、最後にはきちんと教訓も得られる。こうした作品なら、「大人と子供」双方にメリットがあろう。


■作品データ
スパイダーウィックの謎
The Spiderwick Chronicles
2008年4月26日(土)より、全国ロードショー
2008年/アメリカ/カラー/96分/配給:パラマウント ジャパン

スタッフ
監督:マーク・ウォーターズ
脚本:デビッド・ベレンバウム、ジョン・セイルズ
製作:マーク・カントン、ラリー・フランコ
原作:トニー・ディテルリッジ、ホリー・ブラック「スパイダーウィック家の謎」(文渓堂刊)
撮影:キャレブ・デシャネル
美術:ジム・ビゼル
編集:マイケル・カーン
音楽:ジェームズ・ホーナー
視覚効果:I.L.M.、フィル・ティペット

キャスト
フレディ・ハイモア
サラ・ボルジャー
メアリー・ルイーズ・パーカー
ニック・ノルティ
ジョーン・プロウライト
デヴィッド・ストラザーン




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