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プルミエール-私たちの出産-

◆出産とはかくも感動的なのか (85点)

 世界各国の、さまざまな出産シーンを追ったドキュメンタリーだと聞いていた。席に着くと、ほどなく上映が始まった。映画におけるファーストシーンはきわめて大切、ということはわかっている。だが、それでも私は度肝を抜かれた。

 修正ナシで、分娩時の強烈な映像でも見たのだろうと思った方は不正解。それは私も予想していたし、学生のじぶんに解剖生理学その他、人体に関わる学問を専攻した身としては、その程度の絵は見慣れている。

 そんな自分でも、このオープニングの出産シーンには相当ビックリした。宗教、哲学、衛生その他のあらゆる既成概念を、打ち砕かれた気がした。

 同じオトコながら、五大陸10カ国の女性たちの出産を見つめ続けたジル・ド・メストル監督の情熱と女性に対する尊敬の念には頭が下がる思いだ。そして、その題材のチョイスの仕方にも、大いに共感すべき点がある。

 我々日本人にとって「普通」である病院出産から、男女の友人らを集めた自室で、自力だけで水中出産するヒッピーじみた米国人女性、さらには砂の上に直接産み落とす砂漠の民など、子供を産む行為にこれほどバラエティがあるのかと驚かされる。中でも、もっともインパクトあるのが冒頭のそれだが、あえてその詳細は語るまい。

 映画はそれらを適時つまみながら同時進行させていくが、やむなく帝王切開する女性や、一日120件以上を扱う世界最大級の病院での医療介入出産(ほとんど流れ作業)の無機的なイメージに対して、日本の愛知県に存在する、昔ながらのお産を目指す産院の温かい描き方を見るに、作り手のナチュラルバースへの確固たる支持が感じられる。

 私はこれを、「日本の普通」に疑問を持たず出産した女性やその旦那様に、一番にオススメしたい。劇中で涙を流す男性たちの姿は、同じ男の観客にとって最大の見所・泣きどころである。生と、そのそばに常に潜む死。だからこそ、生命の誕生とはかくも感動的なのか。


■作品データ
プルミエール-私たちの出産-
LE PREMIER CRI
2008年4月シャンテシネ他にてGWロードショー
2007年/フランス/カラー/98分/配給:クロックワークス、コムストック・グループ

スタッフ
監督:ジル・ド・メストル
製作総指揮:ステファニー・ショルテール・シャンプニエ
プロデューサー:ミゲル・クルトワ、ジル・ド・メストル
編集:マリー=エレーヌ・カントン
音楽:アルマンド・アマール
主題歌:シンニード・オコナー




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