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受験のシンデレラ

◆本格受験指南ムービー (70点)

 なぜ大人の男向けのこのコラムで、大学受験がテーマの映画を紹介するかといえばほかでもない。競争激しい昨今、受験とは家族全員が戦時態勢となり、一丸となって戦うものだからだ。お受験(幼稚園〜小学校)に限らず、父母の協力が合否を分ける事実に変わりはない。

 『受験のシンデレラ』(106分、日)は、末期がんを宣告された若きカリスマ予備校講師が、人生最後の生徒としてある少女を選び、二人三脚で東大合格に挑む物語。この少女、高校中退の上、家は貧乏な母子家庭。東大受験は教育費にいくらつぎ込めるかの勝負ともいわれ、親の年収1000万円以上が当たり前の世界。このチャレンジが、いかに無謀かわかるだろう。

 だが偶然コンビニでこの少女と出会った講師は、レジにおける消費税計算で、彼女にある種の数学センスがあることをひと目で見抜く。そして、「お前は人生を変える気はないか?」と声をかけるのだ。このオープニングの吸引力は抜群で、一流のスポ根映画を見ているかのように盛り上がる。

 少女は元来の素直な性格で、高級スーツを着た怪しげな男(何しろ推定年収は億単位)の学習計画を必死にこなしていく。この段階では正体を隠しているが、なんたって男は日本最強の合格請負人。学習シーンのセリフは隅々まで合理性に満ち溢れ、目からうろこの連続だ。ちなみに二人が劇中で使用する参考書や問題集の類はすべて実在のもので、男が語る受験の心得も本物である。

 なぜこんなことが出来るかというと、監督が映画業界の人物ではなく、精神科医で受験のプロでもある和田秀樹(初監督)だから。自らも名門灘高から東大医学部に進んだ彼が、これまで何冊も出してきた受験本、その画期的な内容、ノウハウの数々がこの映画にはふんだんに盛り込まれている。異業種監督ならではの、いまだかつてない本格的受験指南ムービーというわけだ。

 もし周りに受験を予定している人がいたり、あるいは自身が資格試験等を志しているならば、本作ほどモチベーションを高めてくれる映画はほかにない。問題集の表紙を見ただけでやる気がうせる私のようなタイプの人に、強くすすめたい一作。


■作品データ
受験のシンデレラ
2008年3月29日(土)より、新宿K's cinema、シアターN渋谷他ロードショー 以後全国順次
2007年/日本/35mm/カラー/DTSステレオ/106分/配給:大風

スタッフ
監督・原案:和田秀樹
脚本:武田樹里
製作:緑鐵、和田塾緑鐵舎
プロデューサー:田中和彦、中林千賀子

キャスト
寺島咲
豊原功補
田中実
浅田美代子




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