トップページ激映画批評

激映画批評

バックナンバー


スルース

◆浮気相手と夫のガチンコ対決サスペンス (65点)

 男の生涯において、できれば会いたくない天敵のような存在がいる。結婚報告のため、初めて会いにいくときの恋人の父親などは、まさにその代表だ。だが、それよりもっと嫌なのは、長年の不倫関係がばれたあとの、相手の旦那であろう。

 『探偵<スルース>』(72年/米)のリメイク『スルース』(89分/イギリス・アメリカ)の主人公は、若きイケメン俳優(でも売れてない)。彼は、よりにもよってその"天敵"の家に招かれる。呼ばれた理由はほかでもない。奥さんとの不倫が旦那バレしてしまったのだ

 到着してみると、門から玄関まで車でしばらく走るような大豪邸。自分が乗ってきたオンボロ小型車を停めると、横には堂々たる車格のメルセデスが。建物に入る前から、相手の強大さに圧倒される。心理的に、早くも形勢不利な状況だ。

 しかも執事はすでに帰され、屋敷にはダンナと二人きり。見ると自分と30〜40歳は離れているだろうか。しかし、世代は違えどこれは男同士の、オンナをめぐる一対一の対決なのだ。

 ……が、そんなイヤ〜ンな修羅場に覚悟をもって臨んだ男は、意外な話を聞くことになる。なんでも旦那(有名推理作家で大金持ち)には別の愛人がおり、妻とはさっさと別れたいという。しかも、狂言強盗を演じ、金庫のダイヤモンドを持っていけなどと提案する。若い間男に生活費代わりのダイヤと妻を押し付け、自分は巨額の盗難保険金と新しい女を手に入れる。まさに利害の一致というやつだ。でも、なんだか話がうますぎないか?

 登場人物はほんの数名。舞台は屋敷内のみ。会話と表情で勝負する、男優二人のガチンコ演技合戦だ。夫役のマイケル・ケインは、72年のオリジナル版では今回ジュード・ロウが演じた間男役だった。35年を経て円熟期に入ったこの名優は、今度は老練な策士として、若きプレイボーイを追い詰めていく。

 奥の手を隠しつつ、互いに騙しあう心理戦。強敵を出し抜くのは果たしてどちらなのか。衝撃の結末を、果たしてあなたは予想できるだろうか。

 ともあれ、こういう強大な天敵とは、できれば一生遭遇したくないものですなぁ。


■作品データ
スルース
Sleuth
2007年3月8日よりシネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか全国順次ロードショー
2007年/イギリス・アメリカ/カラー/89分/配給:ハピネット

スタッフ
監督:ケネス・ブラナー
原作戯曲:アンソニー・シェイファー
脚本:ハロルド・ピンター
プロダクションデザイン:ティム・ハーヴェイ
衣装デザイン:アレクサンドラ・バーン
音楽:パトリック・ドイル

キャスト
マイケル・ケイン
ジュード・ロウ




ページの先頭へ戻る