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ガチ☆ボーイ

◆全プロレスファンは必見 (85点)

 かつてPRIDEなどの総合格闘技やK-1といったエンタ性を高めたガチンコ競技の台頭により、ジャンルとしてのプロレスは息の根を止められたかに見えた。だが最近、その面白さが再評価されつつあると個人的には感じている。

 観客のため体を張って技を受け、互いを引き立てつつ役割を演じきるプロレスラーの"職人芸"は、ただ相手に勝とうとする格闘家のそれよりはるかに高度だ。

 つまりは、秒殺で勝ち誇るなんとかKIDなる若造よりも、長年の戦いで膝がボロボロになりながらも、お客さんのためムーンサルトプレスを跳ぶベテランレスラーのプロ意識にこそ、大人の男たちは涙するのである。

 『ガチ☆ボーイ』(120分/日本)は、そんな今こそ見るべき傑作プロレス映画。原作は劇団モダンスイマーズによる大好評の舞台劇で、映画化にあたり設定や結末がいくらか変わっている。

 主人公は、学生プロレスに入部志望の貧弱学生。熱意はすごいがこの男、技も試合の段取りもまったく覚えられない。デビュー戦でも負け役のはずが途中からすっかり失念、ガチンコで暴れまわってしまう。……が、それが逆に客には大うけするのだった。

 学生プロレスらしいコミカルな話は、しかし中盤で突然ひっくり返る。男が背負う重い宿命が明らかになり、物語は笑いから涙へその姿を一変させる。その先は感動が波のように押し寄せるクライマックスまで目が離せない。

 特筆すべきは迫真の試合シーン。若い役者たちはみちのくプロレスの新崎人生(みちプロを代表する人気レスラー)の指導のもと、キツい合宿と練習に耐え、一切の吹き替えなしで演じきったという。"体を張る"そして"痛みに耐える"姿を見せることは、まさにレスラーの真髄であり、ここにこだわった小泉徳宏監督(『タイヨウのうた』(06))および出演者一同には、最高の賛辞を送りたい。

 小橋建太(昨年10月、腎臓癌から奇跡の復帰を遂げた、ノアの看板レスラー)の復帰戦を泣きながら見たような熱い男たちにとって、この作品は絶対に見逃せない一本となろう。


■作品データ
ガチ☆ボーイ
2008年3月1日(土)、全国東宝系ロードショー
2008年/日本/カラー/120分/配給:東宝

スタッフ
監督:小泉徳宏
原作:「五十嵐伝〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜」(作・演出:蓬莱竜太)
脚本:西田征史
音楽:佐藤直紀
主題歌:「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」チャットモンチー(キューンレコード)
製作:フジテレビジョン+ROBOT+東宝
制作プロダクション:ROBOT

キャスト
佐藤隆太
サエコ
仲里依紗
宮川大輔
泉谷しげる




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