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ファーストフード・ネイション

◆ダイエットに最適な映画 (80点)

 忙しいときや給料日前のサラリーマンにとって、ファストフード店は手軽な食事場所として重宝する。結構な頻度で利用する、という人も多いだろう。そんな方には、先にお詫び申し上げたい。なぜなら今回紹介する映画を見たら、たぶんあなたは二度とその店に入れないから。

 原作は全米でベストセラーになった「ファストフードが世界を食いつくす」というマクドナルド告発本。その歴史から販売戦略、下っ端従業員の悲惨な勤務実態や違法行為、そして何より食材の正体まで、よくぞここまで取材したと思う力作ノンフィクションだ。あまりに的を射ていたせいか、一部数値の誤りについて修正依頼した以外、天下のマック弁護団も沈黙したほど。

 その著者エリック・シュローサーによる脚本は、ドラマ仕立てで架空の大手ファストフードチェーンの実態を暴く、リアリティ抜群の物語。映画はまず、同社の幹部会議に、バーガーパテに大腸菌が検出された件が報告されるところから始まる。そこで、食肉加工工場を調査に訪れる幹部とともに、観客も業界の恐怖の現場を知ることになる。

 歴史上、ファストフード店の登場は、「労働者が、はじめてわが子を外食に連れて行くことができるようになった」とされる画期的な出来事だが、あまりに企業規模が巨大すぎるのも問題だ。たとえば原価を下げるため、労働者は法外な激安賃金で使われる。街の店舗にいるアルバイト学生の話ではない。彼らはこの巨大なピラミッド構造の中間あたりに位置する、「マシな方」だ。

 本作が描くのはそれよりずっと下、まさに最下層の実態。たとえばあるメキシコからの不法移民一家は、機械のように延々と肉と内臓を分ける作業をやっている。そしてそんな仕事を得るために、一家の奥さんは工場長に体を売っている。

 肝心のバーガーの中身についても、容赦なくすべて見せる。その製造工程の終わりからはじめに向かって物語は進行していき、ラストには、これを見たら本当にヤバい衝撃映像が待っている。

 私はこれを見て以来、まだ一度もファストフード店に行っていない。試写室の地下にあって便利だったんだけどなぁ。


■作品データ
『ファーストフード・ネイション』
Fast Food Nation
2008年2月26日、ユーロスペース他、全国順次ロードショー
2006年/アメリカ、イギリス/カラー/108分/日本語字幕:石田泰子/ビスタ/ドルビーSRD
配給:トランスフォーマー
宣伝・配給協力:ザジフィルムズ

スタッフ
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
原作・脚本:エリック・シュローサー
製作:ジェレミー・トーマス
音楽:フレンズ・オブ・ディーン・マルティネス

キャスト
グレッグ・キニア
ポール・ダノ
イーサン・ホーク
パトリシア・アークエット
アヴリル・ラヴィーン
カタリーナ・サンディノ・モレノ
アナ・クラウディア・タランコン




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