トップページ激映画批評

激映画批評

バックナンバー


28週後...

◆おばかさん、ピンポン感染で世界を滅ぼす (75点)

 『28日後...』(02年、イギリス/アメリカ/オランダ)をご存知だろうか。10億円足らずの製作費ながら、終末の日のロンドンを真に迫る映像で描き、好評を博したホラームービーだ。

 ウィルス感染により全英国民がゾンビ化、そいつらが全速力で追いかけてくるスピード感、わずかな生存者による篭城戦……。一見、ジョージ・A・ロメロなどゾンビ映画の古典や、『バイオハザード』といった近年のパニックホラーと似通っているが、現代的なテーマ性を織り込んだことで、大人の観客やうるさい映画マニアをも感心させた。

 今回紹介する続編『28週後...』(104分/イギリス・スペイン)は、題名どおり英国のウィルス感染から28日後……の前作からさらに数ヵ月後の、復興を始めたグレートブリテン島を描く。エサ(ニンゲンですよ!)が無くなってゾンビが死滅し、ようやく大陸に疎開していた国民が戻ってくるというお話。

 むろん、後半は一人のおばかさんのせいでウィルスが復活し、阿鼻叫喚の地獄絵図が再現されるのだが、それはひとまず置いておく。なんといっても前半の「人道復興支援」の様子が面白いのだ。

 仮設住宅や治安維持による安全を提供するのは、天下無敵のアメリカ軍。無人の廃墟と化したロンドンをうろつくゾンビたちを、圧倒的火力で撃ち殺していく姿はじつに頼もしい。彼らの庇護の下で、同盟国イギリスの国民は再び民主国家と文明的生活を再建すべく、次々と戻ってくる。

 さて、これはいったい何でしょう? いや、謎かけするまでもない。そう、これは私たちがここ数年、テレビのニュースで見ている"あの国"の姿そのものだ。とすると、米軍が掃討作戦を展開しているゾンビというのは……。

 いやはや、一見ノーテンキなアクションサバイバルホラーの本作。なかなかどうして、じつにシニカルな社会批判になっているではないか。前作同様、わかるひとにはわかる、現実社会をチクリと刺す心憎い隠し味。その味は、個人的には前作以上。ミシェランなら、間違いなく星をつけるであろう、大人の一品だ。

■作品データ
『28週後...』
28 WEEKS LATER
2008年1月、お台場シネマメディアージュほか全国ロードショー
2007年/イギリス/スペイン/カラー/104分/配給:20世紀フォックス映画

スタッフ
監督:フアン・カルロス・フレスナディージョ
製作:アンドリュー・マクドナルド
アロン・ライヒ
エンリケ・ロペス・ラビニュ
製作総指揮:ダニー・ボイル
アレックス・ガーランド
脚本:フアン・カルロス・フレスナディージョ
ローワン・ジョフィ
ヘスス・オルモ
E・L・ラビニュ
撮影:エンリケ・シャディアック
音楽:ジョン・マーフィ

キャスト
ロバート・カーライル
ローズ・バーン
ジェレミー・レナー
ハロルド・ペリノー
キャサリン・マコーマック
マッキントッシュ・マッグルトン
イモジェン・プーツ
イドリス・エルバ




ページの先頭へ戻る