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フライボーイズ

◆往年のヒコーキ映画の魅力を、最新の映像技術で (80点)

 歳を重ねても、男たちの居場所は狭いままだ。通勤電車の混雑はひどいし、2LDKの狭いマンションに帰ればリビングの片隅が自室代わり、そのくせ子供は立派な個室を持っていたりする。下手すりゃホームレスの公園テントより、プライベート空間が少ないんじゃないか。

 だから、というべきか。無限の大空を舞う飛行機に、誰しも一度は憧れる。だがジェット機は、味気無くてだめだ。もっと低速のプロペラ機、できれば直接風を感じられる、昔ながらの複葉機を操縦できたらどんなに楽しいだろう。小回りが効くパーソナル性と、飛行帽に革のフライトジャケットというスタイルは、時代を超えた魅力にあふれている。

 『フライボーイズ』(138分、米)は、第一次世界大戦時のフランスにおける飛行部隊を描いた作品ながら、戦争映画というよりむしろヒコーキ映画と評したくなる、爽快なスカイアクション。

 舞台となるラファイエット空軍は、当時中立を保っていた米国からの義勇兵で構成された実在の戦闘機隊。外国人ながらフランスのため勇敢に戦い、散っていったその実話がベースになっている。

 それぞれが皆複雑な事情を抱えながら志願し、心優しい指揮官のもとで成長、やがて壮絶な戦場に挑む群像劇。ラファイエット部隊を称える内容だから戦争映画としての中立性は薄いが、どの登場人物も人間くさくて、友情ドラマとして見ごたえがある。

 最大の見所は、70億円の巨費を投じた空中アクション。実際にパイロットである監督が、実動機を飛ばして空中撮影。さらにCGで銃弾の跡などを味付けした本格映像は、広い画面で見ると痛快そのもの。

 ライト兄弟から間もないこの頃、木と紙で作られた温かみのある機体がじつに素朴でいい。背後を取った敵エースが、前回交戦時に不時着した友人を殺してしまった詫びの気持ちから、あえて見逃すといった展開も、騎士道精神が生きていたこの時代ならではだ。

 年々巨体化する女房により、睡眠中さえダブルベッド上での占有率が下がる一方の皆さん、せめて一時の開放感を味わうべく、大画面で青空を駆け巡ってみてはいかが。

■作品データ
『フライボーイズ』
Flyboys
2007年11月17日 シアターN渋谷、ユナイテッドシネマ豊洲ほか全国順次ロードショー
2006年 /アメリカ /カラー /138分 /DOLBY DIGITAL /SDDS /DTS /シネマスコープ /配給:プレシディオ 宣伝:プレシディオ×アルシネテラン

スタッフ
監督:トニー・ビル
製作:ディーン・デヴリン
製作:マーク・フライドマン
脚本:デヴィッド・S・ワード
撮影:ヘンリー・ブラハム
音楽:トレヴァー・ラビン

キャスト
ブレイン・ローリングス:ジェームズ・フランコ
ジョルジュ・セノール:ジャン・レノ
リード・キャシディ:マーティン・ヘンダーソン
ルシエンヌ:ジェニファー・デッカー
ブリッグス・ロウリー:タイラー・ラビン




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