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アフター・ウェディング

◆抜群のストーリーテリング (60点)

 血を分けた親族との絆が強固なのはわかる。だが、たとえ血がつながっていない家族でも、長年暮らしたならば同じくらい結びつきは強いはずだ。では、そのどちらかを選べといわれたとき、あなたならどうするだろうか。

 『アフター・ウェディング』(119分/デンマーク)は、そんな男の物語。デンマーク人のヤコブ(マッツ・ミケルセン)が働くインドの孤児院に、あるとき本国の実業家から巨額の寄付金の申し出が届く。男が要求した条件はヤコブ本人とのデンマークでの面会。怪訝に思いつつも帰国したヤコブは、なし崩し的に出席させられた実業家の娘の結婚式で、信じられない人物と再会する。はたしてこれは、すべて仕組まれたことなのだろうか……?

 偶然というにはあまりに奇妙な展開に、観客は冒頭から引きずりこまれる。真相は徐々に明らかになり、主人公ヤコブはやがて先述の選択を迫られる事になる。

 本作はその優れた脚本からアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされ、監督のスサンネ・ビア(脚本も担当)はこのあとハリウッドの話題作を任されることになった。家族と血という大テーマのもと、貧しいものや子供たちのたくましさを優しい視点で描いた感動作……でありながら、決して安っぽいお涙頂戴ものではない、見ごたえある映画作品に仕上げた手腕は確かに優れたもの。

 カメラは手持ち中心で、人物の瞳への大胆なクローズアップを多用して心の内側を映し出す。一般的なアメリカ映画とはまるで違った、遊び心のないストイックな作風だが、様々な謎に対するタネあかしのタイミングが絶妙で、退屈しらずの2時間を過ごすことができる。

 悩みに悩みぬいた主人公が選んだ究極の選択肢。その結果ははたして……?!

 ちなみにもし私がヤコブだったら、きっと違う答えを選んで、より泥沼にはまっていたような気がしてならない。同じ男として、あなただったらどうするだろう。

■作品データ
『アフター・ウェディング』
After the Wedding / Efter brylluppet
2007年10月27日、シネカノン有楽町にてロードショー
2006年/デンマーク/119分/カラー/ドルビー SRD/配給:シネカノン

スタッフ
監督:スサンネ・ビア(『しあわせな孤独』)
脚本:アナス・トーマス・イェンセン(『ミフネ』)
挿入歌:シガー・ロス

キャスト
マッツ・ミケルセン
ロルフ・ラッセゴード
シセ・バベット・クヌッセン
スティーネ・フィッシャー・クリステンセン



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