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プラネット・テラー in グラインドハウス

◆タランティーノ版とセットで見比べるのも一興 (70点)

 エロ、グロ、バイオレンスの三本柱は、男に訴えかける要素として定番中の定番。この3つを適当に混ぜた映画を作っておけば、大概の男性客の退屈しのぎにはなるという寸法だ。『プラネット・テラー in グラインドハウス』(105分、米)はまさにその典型例で、しかも味付けが下町の佃煮なみに濃い。

 舞台はテキサスの田舎町。米軍の部隊長と怪しげな科学者のヤミ取引中、ゴタゴタが発生。"商品"である生物兵器が空気中に放出されてしまう。やがて周辺住民が次々とウィルスに感染。ゾンビ状態となった者が未感染者たちを襲う、地獄絵図が展開される。

 無法地帯となった街で、主人公らの生存をかけた戦いを描くゾンビホラー……が軸となるが、そこにほとんどギャグレベルの大げさなスプラッター演出や、ナンセンス極まりないアクションシーンが続々と加わる。

 中でも片足をもぎとられた女の子が、義足代わりに自動小銃をくくりつけ、バッタバッタとゾンビに復讐していくあたりは強烈。CGで女優の片脚を消した違和感のない義足姿(?)と、妙に露出の多い衣装が意外なほどマッチしている。そんなヒロイン像はまさしくエロ、グロ、バイオレンスの三位一体。これまた意味不明なまでに強い男主人公のバイクの後部座席にまたがり、二人で大活躍する。

 ほかにもガーターベルトに挟んだ注射器で戦うセクシーナースや、睾丸集めが趣味の科学者など、ハチャメチャなキャラクターが勢ぞろい。ほとんど闇鍋のごとき様相を呈している。それでもバランス良いエンタテイメントに仕上がったのは、やはり監督ロバート・ロドリゲスの功績といえる。

 この監督、脚本から音楽までなんでも一人でこなすだけあり(作品データ参照)、全体を見渡す構成力の高さは折り紙つき。本作でも、破綻寸前なまでの多ジャンル&ナンセンスストーリーを、60〜70年代に流行ったB級二本立て映画風味にまとめあげた。ちなみにこれ、米国では盟友クエンティン・タランティーノ監督による『デス・プルーフ in グラインドハウス』(公開中)と同時上映された。かつてのグラインドハウス(先述した二本立て上映館のこと)映画を再現する企画モノ、というわけだ。

 「そういえば昔、故郷のきったない映画館で一日中、くだらないアクションや安っぽいホラーを見ていたっけ」という世代なら、思わず嬉しくなる小ネタがたくさん仕掛けてある。あの頃映画に期待していた、素朴なワクワク感を思い出せること確実だ。

■作品データ
『プラネット・テラー in グラインドハウス』
Robert Rodriguez's Planet Terror
2007年9月22日よりTOHOシネマズ六本木、日比谷みゆき座系ほか全国順次ロードショー
2007年/アメリカ映画/カラー/105分/ビスタサイズ/ドルビーデジタル、SDDS、DTS/R-15/配給:ブロードメディア・スタジオ

スタッフ
監督/脚本/撮影監督/編集/音楽:ロバート・ロドリゲス
製作:エリザベス・アヴェラン、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ

キャスト
チェリー:ローズ・マッゴーワン
レイ:フレディ・ロドリゲス
ブロック:ジョシュ・ブローリン
ダコタ:マーリー・シェルトン
JT:ジェフ・フェイヒー
ヘイグ保安官:マイケル・ビーン



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