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Genius Party ジーニアス・パーティ

◆日本アニメの魅力がつまったオムニバス (70点)

 ホリエモンの影響か、あるいは金持ち父さんのせいなのか。日本人が投資にばかりうつつを抜かすようになってから久しい。物づくりの気概を失ってしまっては、孫の代の繁栄などありえないというのに、なんとも嘆かわしい。

 わが映画界においても、創作というよりマーケティングの賜物のようなテレビ局映画ばかりがもてはやされている。……が、そんなお仕着せの娯楽より、職人たちが霊感のおもむくまま作り上げた、入魂の一品料理を食べたくなるときもあるはずだ。ただ、そんな作品がいまの日本にあるのかどうか。

 ある。それが『Genius Party ジーニアス・パーティ』。7人のクリエイターが才能を持ち寄ったオムニバス・アニメーション作品だ。

 とはいえ、実験的な作品ばかり集めたこの手の企画は、作り手が未熟なことも多く、観客に忍耐を強いるものも決して少なくない。

 だが、世界最高峰のアニメ工房、STUDIO4℃と個性派監督らが腕を振るう本作ならばその心配は無い。世界でも通用する日本アニメ界で経験を積んだ監督とスタッフたちは、たとえ「制約なし」との企画意図のもとにおいても、観客を喜ばせるツボは外さない。その上で、テレビや商業映画につきものの「制約」から自由になった想像力を、存分に映像に焼き付けている。

 たとえば「超時空要塞マクロス」の河森正治監督は、得意のメカバトルシーンの迫力向上を追求した超高品質SFアクションで勝負。かと思えば「カウボーイビバップ」の渡辺信一郎監督は、「普段ならオファーがこないようなジャンルに挑戦した」との言葉どおり、純愛青春ものを送り出した。

 そのほかにも、ファンタジーから哲学的内容のものまで、日本アニメの守備範囲の広さをそのまま表す魅力的なラインナップが並ぶ。どれもハイクォリティの良作ばかりで、退屈と無縁の104分間だ。

 こうした一流の職人たちによる小皿料理(短編映画)をコースで堪能すれば、大きな刺激となるのではと思う。その後は自分たちも物づくりや、新たな価値の創造のため、仕事に趣味に大いに頭をひねりたい。

 とはいえ、コストダウンのため牛肉にこっそり豚肉を混ぜるとか、面倒だから年金台帳を廃棄しちゃえとか、そういう創作アイデアだけは勘弁してもらいたいものだが。

■作品データ
『Genius Party ジーニアス・パーティ』
Genius Party
2007年7月7日(土)シネリーブル池袋、渋谷シネ・アミューズ他 全国順次ロードショー!!
2007年/日本/カラー/104分/配給:日活

スタッフ
監督:福島敦子、河森正治、木村真二、福山庸治、二村秀樹、湯浅政明、渡辺信一郎
プロデューサー:佐伯幸枝
音楽プロデューサー:渡辺信一郎
制作:STUDIO4℃
エグゼクティブ・プロデューサー:田中栄子
製作:Genius Party製作委員会



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