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300<スリー・ハンドレッド>

◆特攻隊の真髄を完璧に表現 (90点)

 男には、心を奮い立たせる映画が必要だ。バリバリ働く企業戦士や受験生、ほうっておくと10時間くらい寝ている私のような怠け者でさえ、心のやる気ボタンを押してくれる一本てのがあるものだ。『ロッキー』や『ルディ』などスポ根ものはその典型例だが、もしまだそうした映画に出会っていないなら『300』をすすめる。

 紀元前480年、ペルシア戦争での最激戦テルモピュライの戦いの映画化。100万のペルシヤ侵略軍に、たった300人で立ち向かった勇敢なスパルタ兵の物語だ。

 歴史モノというと、チンタラした長尺ドラマ? なんて思いがちだがさにあらず。アメリカで人気の劇画を原作にした本作は、全編VFX使いまくりのハデハデ映像、モノローグの挿入によるテンポ抜群の進行と退屈知らず。9:1くらいの割合でエンタテイメント性を重視、面白さのためなら時代考証は二の次という明確なコンセプトで作られている。

 たとえば、史実では重装歩兵として知られるスパルタ兵は、映画ではアクロバティックな白兵戦シーンのため半裸の軽装に変更。全員が6パックに割れた腹筋を露にして戦いに挑む。そのほかにも身長3メートルはあろうかという巨人や、化け物みたいなゾウ戦車が出てきたりなど、実話というよりほとんどロード・オブ・ザ・リングの世界だ。

 しかし、その明快な割り切りこそが潔い。どのみち2500年も前の歴史を、事実に忠実に映像化などできるはずもないのだ。

 スローモーションで一人一人の表情と流麗な太刀さばきを十二分に堪能させる戦闘シーンは、大軍に埋もれがちな英雄たちの個性をしっかりと観客に伝える。名前も顔も覚えきれない群像歴史ドラマが多い中、この作品はまるで自分が300人の一人になったような、そして戦友すべてとこの壮絶な体験を共有したような錯覚を覚えさせる。

 後の世のため、悲壮な戦いに赴いた男たちの壮絶な戦い。その戦場をバーチャル体験できる『300』は、鑑賞後にアドレナリンの分泌量が10倍くらい増えること確実。モチベーションアップの材料に苦慮している人は、必見の大傑作だ。

■作品データ
『300<スリー・ハンドレッド>』
2007年6月9日(土)より、サロンパス ルーブル丸の内他全国超拡大ロードショー !!
2006年/アメリカ/カラー/117分/配給:ワーナー・ブラザーズ映画



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