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プロジェクトBB

◆泣ける度の高さは過去最高レベル (75点)

 およそこの競争社会において、ベテランというものはいつかイキのいい若手に追い落とされる運命にある。「老兵は死なず、ただ去り行くのみ」というやつだ。映画界の花形、アクションスターの世界でもそれは同じで、とうがたてば激しい動きができなくなるのは当たり前。人気があるうちにコメディやら演技派に転身するのが常道となる。
  しかし、主演作すべてが日本公開される唯一無二の外国人スター、ジャッキー・チェンだけは別。54歳の今でも常識外れの活躍を続けている。たしかに彼とて、近年はタイからトニー・ジャー(「マッハ!」「トム・ヤム・クン!」ほか)という最強のライバルが現れ、ケツに火がついた状況だった。
  だが驚くべきことに、ジャッキーはこの若い競争相手に対し一歩も引かなかった。拠点をハリウッドから古巣の香港映画界に戻し、原点回帰の肉体アクション『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004年/香港)を発表するという、堂々たる横綱相撲で対抗したのだ。そしてこれは大成功を収め、彼は最新作『プロジェクトBB』でも同じ監督と組むことになった。もちろん、CGに頼らぬ本物スタントを自ら演じるコンセプトもそのままだ。
  今回彼が演じるのはなんと泥棒。決して他人を傷つけずに盗むポリシーを持つ3人組だが、あるときやむなき事情から大富豪の赤ちゃんを誘拐してしまう。やがて彼らは慣れない乳児の世話に大わらわ。おまけに別の凶悪グループとの激しい争奪戦にも巻き込まれてしまう。
  一見ありがちな子育てコメディに見えるが、登場人物たちはそれぞれ痴呆の妻や断絶中の父親など深刻な問題を抱えている。赤ちゃんを守る過程で何かに目覚めた落ちこぼれ3人が、やがてそれらの諸問題に正面から向き合う終盤には、怒とうの感動ラッシュが訪れる。ジャッキー映画屈指のストーリー性、そして泣ける度の高さを誇る佳作だ。
  アクションシーンもハイレベルで、とくにビル外壁飛び降りスタントなど驚愕もの。もはやジャッキーの動き自体が、特殊効果の域に達している。いったい彼は何歳までこんな凄い映画を作り続けるのだろう。

■作品データ
『プロジェクトBB』
2007年4月7日(土)より 六本木シネマート・新宿オデヲンほか全国ロードショー
2006年/香港/カラー/126分/ドルビーSRD、DTS/配給:UIP映画



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