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さくらん

◆新鮮味はないものの、いまどきの女性映画としてはそれなり (55点)

 この映画のプレス試写会で私は、何度か満員で入場を断られる憂き目にあった。六本木駅前ということもあり元々人気の高い試写室ではあるが、やっと入れた何度目かのとき、客席が女性ばかりだったのには驚いた。きっと公開時には、女性誌に彼女らが作った特集記事が溢れることになるだろう。

 そんな『さくらん』(111分、日)は、確かに典型的な女性映画であった。主人公は吉原遊郭に売られた"きよ葉"という名の少女。上下関係が厳しい茶屋での修行に耐え、やがて花魁"日暮"としてデビュー。その美貌で吉原ナンバーワンへと成長する。

 あらすじは、まさに典型的な花魁時代劇。突き出し(初めて客を取ること)での処女喪失や、だまされ続ける男遍歴など、エピソードだけ拾い上げればドロドロした愛憎劇を想像しがちだ。

 ところがどっこい、そんなオヤジ好みのコッテリ味を期待しちゃダメ。先輩役の菅野美穂をはじめ、ハダカも濡れ場もたくさん出るが、土屋アンナ演じるヒロインに悲壮感はまったくない。むしろ金で彼女を買おうとする男どもには強烈なタンカを切って圧倒。陰湿なイジメ気質の同僚には問答無用でケリを叩き込む。長キセルを味わう姿は一見古風でたおやかだが、中身は現代の奔放なオンナノコそのものだ。

 ジャズやロックごたまぜの劇中音楽は椎名林檎、監督はメルヘンチックなガーリーフォトで知られる写真家の蜷川実花。女性から圧倒的な支持を得るカリスマたちのコラボレーションで描かれる吉原は、ファンタジックで明るくとても楽しげだ。

 さて、なぜこんな女性向け映画をここですすめるか。そりゃもちろん、女の子を誘うに最適だからだ。それもジェンダー論なんかをぶってる、気の強いフェミニストな子のご機嫌を取るのにピッタリ。と同時に、自分のオヤジ度なんてのを測る事もできる。イマドキ女性の代弁者たる『さくらん』をもし受け入れられなかったら、すでに相当症状は重いですぞ。

■作品データ
『さくらん』
2007年2月24日(土)渋谷シネクイント・新宿ジョイシネマ・シネリーブル池袋 他全国一斉ロードショー
2007年/日本/カラー/111分/配給:アスミック・エース



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